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書籍を執筆する手順|企画書と目次の作り方から出版の4つの方法まで解説

公開日 2026年10月08日

書籍 執筆

「まずは原稿を最後まで書き上げて、それから出版社に持ち込もう」。書籍の執筆を考え始めた人の多くは、このような順番を思い描くはずです。小説の新人賞のように、完成した原稿で応募する仕組みが広く知られているため、本は書き上げてから売り込むものという印象が根強いのでしょう。

しかし、ビジネス書や実用書の多くは、原稿より先に企画書と目次で出版が決まります。字遊堂はこれまで、経営者や専門家への取材をもとに、電子書籍や社史の原稿を数多く制作してきました。原稿づくりを重ねて実感しているのは、書籍の執筆が最後まで進むかどうかは、書き始める前に読者と目次を決め切れたかでほぼ決まるということです。

本記事では、出版の4つの方法から企画書と目次の作り方、本文を書き進めるコツまで、原稿づくりを請け負う制作会社の視点で順を追ってお伝えします。

書籍の執筆から刊行までの流れ

書籍の執筆は、企画、目次づくり、本文の執筆、推敲とゲラ修正、入稿の5つの工程で進みます。原稿を書く作業は5つの工程のうちの1つにすぎず、企画と目次づくり、ゲラ修正にも、それぞれ数週間から数か月かかります。

工程 やること 主に動く人
企画 読者・テーマ・類書との違いを企画書にまとめる 著者(商業出版では編集者と一緒に)
目次づくり 章と項目を決め、全体の分量を見積もる 著者と編集者
本文の執筆 目次に沿って原稿を書く 著者
推敲とゲラ修正 原稿の誤りを直し、本の形に組んだ校正紙(ゲラ)に赤字を入れる 著者と編集者・校正者
入稿 確定した原稿を印刷所に渡す 編集者

商業出版のビジネス書では、企画が通ってから刊行まで、半年から1年ほどを見込むのが目安です。本文の執筆に3〜4か月、ゲラの修正に1〜2か月かかることが多く、著者の本業の忙しさや、図表と取材の量によって期間は前後します。

書籍を出版する4つの方法

書籍を出版する方法は、商業出版、自費出版、企業出版、電子出版の4つに分かれ、費用を誰が負うかで執筆の進め方も変わります。

方法 費用の負担 出版前の審査 主な流通先
商業出版 出版社 あり(出版社の企画会議) 全国の書店
自費出版 著者 企画の審査は原則なし 契約するプランによる
企業出版 企業 企画の審査は原則なし 契約するプランによる
電子出版 原則なし ストアの内容審査のみ 電子書籍ストア

出版社が費用を負う商業出版

商業出版は、出版社が制作費と印刷費を負担し、売上に応じて著者に印税を支払う方法です。費用がかからない代わりに、出版社の企画会議で売れると判断された企画しか本になりません。編集者から依頼を受けて始まる場合を除けば、企画書を出版社に送るか、出版の仲介をする会社を通して提案します。

**商業出版では、著者は原稿を書く前に企画書と目次で審査を受けます。**完成原稿を送っても、テーマが出版社の刊行方針に合わなければ、読まれないまま終わることもあります。

著者が費用を負う自費出版

自費出版は、著者が制作費を負担して本をつくる方法です。審査が原則として無いため、テーマや内容を自由に決められ、刊行の時期も自分で選べるのが利点です。費用は部数、ページ数、装丁、書店流通の有無で大きく変わり、数十万円で収まる場合もあれば、数百万円かかる場合もあります。

自費出版の会社には、全国の書店に並べるプランを用意しているところもあります。ただし、書店に並べても、棚に置かれる期間や場所までは約束されないことが多いため、契約前に流通の範囲と期間を契約書と見積書で確かめましょう。

会社の課題解決に使う企業出版

企業出版は、会社が費用を出し、採用やブランディング、営業の課題を解くために本をつくる方法です。経営者の考え方や自社の技術を1冊にまとめ、採用説明会や商談の場で配る使い方もできます。書く内容が事業と直結するため、社内の情報をどこまで出すかを、執筆前に経営陣と決めておくことが欠かせません。

社史も、会社が費用を出してつくる本の一つで、創業からの歩みを記録に残す目的でつくられます。取材から構成、執筆までを社外に任せる会社が多く、担当者が原稿を一から書くことはあまりありません。

個人で出せる電子出版

電子出版は、AmazonのKindleダイレクト・パブリッシングのようなサービスを使い、個人が電子書籍として本を出す方法です。印刷費がかからず、原稿と表紙の画像を用意すれば、ストアの審査を経て早ければ数日で販売が始まります。KDPでは、注文を受けてから1冊ずつ印刷するペーパーバックとして、紙の本も出せる仕組みです。

手軽な反面、編集者や校正者が付かないため、誤字や内容の重複を自分で見つけて直す必要があります。電子書籍でもペーパーバックでも書店の棚に並ぶことは無いので、自分のSNSやブログで読者に知らせる手段を持っているかで、読まれる数が変わると見ています。

出版企画書に書く項目

出版企画書には、書名の案、想定読者、読者の悩み、類書との違い、著者の実績、目次案、原稿の進み具合の7項目を書きます。編集者は日々多くの企画書に目を通すため、想定読者と類書との違いを冒頭に置くと、企画の芯が伝わります。

項目 書く内容
書名の案 読者が書店で手に取る理由が分かる仮の書名
想定読者 年代や職業に加え、どんな場面で困っている人か
読者の悩み 本を読む前に読者が抱えている問題
類書との違い 同じテーマの既刊書に無い切り口や情報
著者の実績 テーマを語れる根拠になる経験や件数
目次案 章と主な項目の一覧
原稿の進み具合 書き上がっている章と、原稿の完成予定時期

とりわけ見落とされがちなのが、類書との違いです。書店で同じ棚に並ぶ本を5冊ほど読み、どの本にも書かれていない内容を1つ言えるようにしてから企画書を書くと、この本を出す理由が編集者に伝わります。

著者の実績の欄も、肩書きを並べるだけでは足りません。テーマについて何を何件手がけてきたかに加えて、講演の回数や顧客の数を書くと、出版社は発売直後に買ってくれる読者の規模を見積もれます。

書籍の目次の作り方

書籍の目次は、読者が抱えている疑問を、読者が知りたくなる順に並べて章と項目に分けたものです。

章と項目の立て方

章と項目は、企画書に書いた読者の悩みを細かい疑問に分け、疑問1つに項目1つを当てて組み立てます。ビジネス書や実用書では、5〜7章、各章5〜8項目ほどの構成がよく見られます。

では、項目を並べる順番は何を基準に決めればよいのか。読者が「なぜそうなるのか」「では何をすればよいのか」と次に聞きたくなる順に並べると、読者は前の章を読み返さずに次の章へ進めます。

目次は書き進めるうちに変わってよく、編集者と相談しながら章を入れ替えたり、項目を削ったりするのが普通です。最初の目次が無いまま書き始めると、同じ話を別の章で繰り返したり、次に何を書くか分からなくなったりして、原稿が止まります。

全体の文字数の目安

ビジネス書1冊の本文は、おおむね8万〜10万字です。200〜250ページ前後の本を想定した目安で、図表やイラストが多い本では文字数が少なくなり、専門書では多くなります。

目次の項目数に1項目あたりの字数を掛けると、全体の分量を執筆前に見積もれます。

章の数 各章の項目数 1項目の字数 本文の合計
5章 8項目 2000字 約8万字
6章 6項目 2500字 約9万字

1項目を2000〜3000字に収めると、読者が1回で読み切れる長さになります。書き手にとっても、1項目ずつ進み具合を数えやすくなるのが利点です。

原稿を最後まで書き切るコツ

原稿を最後まで書き切るには、書く順番と執筆時間、推敲の範囲を、書き始める前に決めておきます。

書く順番の決め方

本文は目次の1章から順に書く必要はなく、自分が最も詳しい項目から書き始めると手が止まりにくくなります。詳しい項目は具体的なエピソードがすぐ浮かぶため、書く感覚をつかむまでの時間が短くて済むのです。

1章は本全体の導入にあたり、後の章で何を語るかによって書く内容が変わります。全体を書き終えてから1章を書くと、導入で約束した内容と本文のずれが出にくくなるでしょう。

執筆時間の確保の仕方

本業を持ちながら書籍を執筆する人は、1日の文字数ではなく、週に書く項目の数で目標を決めると続けやすくなります。10万字を4か月で書くなら、週に6千字ほど、項目にして2〜3本が目安です。

1日の文字数を目標にすると、出張や繁忙期で書けない日が続いたとき、遅れを取り戻せずに手が止まりがちです。週単位の目標なら、平日に書けなかった分を週末の2〜3時間でまとめて書くこともできます。

推敲とゲラ修正の進め方

推敲は、書き上げた原稿を数日寝かせてから、確かめる点を絞って読み直すと進めやすくなります。

  • 同じ説明が別の章にも出ていないか
  • 数字、固有名詞、年号が正しいか
  • 「Web」と「ウェブ」のような表記が揃っているか
  • 引用した文章に出典を書いているか

ゲラは原稿を本の形に組んだ校正紙で、商業出版では初校と再校の2回、著者が確認するのが一般的です。本によっては、念校と呼ばれる3回目の確認が入ります。ゲラの段階で大きく書き直すと、組版のやり直しで刊行が遅れたり追加の費用がかかったりするため、内容の修正は原稿の段階で終えておきます。

取材をもとに書籍を執筆する方法

書籍の執筆は、著者が自分で原稿を書く方法のほかに、著者が話した内容をもとにライターが原稿を書く取材型の方法でも進められます。ビジネス書には、ブックライターと呼ばれる書き手が著者に取材して原稿をまとめた本も多く、著者の名前で出版されるのが一般的です。

取材から原稿ができるまでの流れ

取材型の執筆では、目次の項目ごとに質問を用意し、取材を数回に分けて、著者に話してもらいます。

  1. 企画と目次を著者とライターで決める
  2. 項目ごとに用意した質問をもとに取材する
  3. ライターが録音を文字に起こし、目次の順に組み替えて原稿を書く
  4. 著者が原稿を読み、事実の誤りや言い回しの違和感を直す

取材型でも、何を語り、何を書かないかを決めるのは著者です。著者の作業は取材で話すことと原稿の確認に絞られるので、執筆にかかる手間は大きく減ります。

取材型の執筆が向く人

取材型の執筆が向くのは、話せば伝えられる経験や知識があるのに、書く時間が取れない人です。経営者や医師、士業のように本業が忙しい人は、自分で書くと1冊に1年以上かかることもあります。取材型なら、著者が使う時間を取材と確認に絞れます。

原稿づくりを手がけてきた立場から本音を言えば、書くのが苦手な人でも、質問に答える形なら具体的なエピソードが出てくることが多いと感じています。自分で書くと一般論に寄りがちな内容も、質問に答える形だと当時の判断や数字まで語られるため、本の中身が具体的になります。

一方で、文章の一字一句まで自分の言葉で書きたい人には、取材型は向きません。文体そのものを作品として見せる小説やエッセイも、著者が自分で書く方法を選ぶことになるでしょう。

よくある質問

一般人でも書籍を出版できるか

一般人でも書籍は出版できます。自費出版と電子出版は審査が原則として無いため、原稿があれば誰でも本を出せます。商業出版でも、著名人である必要はなく、特定の分野で語れる経験と、読者がお金を払ってでも知りたい内容があれば、企画が通る見込みはあります。

AIで書籍を執筆してもよいか

AIを書籍の執筆に使うことはできます。ただし、AIが出した文章をそのまま原稿にすると、事実の誤りや、他の本と似た一般論が混ざりやすくなります。原稿の文章は著者が書き、AIは次のような下準備や確認に使うと、手間を減らしつつ中身の具体性も保てると見ています。

  • 目次案を考えるときの相談相手
  • 取材メモや録音の文字起こしの整理
  • 書き上げた原稿の誤字や表記揺れのチェック

KDPでは、AIが書いた文章や作った画像を本に使った場合、出版時に申告が必要です。AIが出した文章に大きく手を入れた場合も申告の対象になり、構成の相談や誤字のチェックにAIを使っただけなら申告は要りません。

原稿を出版社に持ち込んでもよいか

原稿の持ち込みは、受け付けている出版社とそうでない出版社に分かれます。ビジネス書の出版社は、完成原稿より企画書での提案を求めることが多く、公式サイトの企画募集や原稿募集の案内に送り方が書かれています。小説やエッセイは持ち込みを受け付けない出版社が多く、新人賞への応募が主な入口になります。

まとめ|書く前の企画と目次で決まる書籍の執筆

書籍の執筆は、原稿を書き上げてから売り込むものではなく、企画書と目次で読者と中身を決めてから書き始めるものです。商業出版なら企画書が審査の対象になり、自費出版や電子出版でも、目次が決まっていれば原稿は途中で止まりにくくなります。

字遊堂は、経営者や専門家への取材をもとに、電子書籍や社史の原稿を企画の段階からつくってきました。話せる経験はあるのに書く時間が取れないという方は、目次案づくりと取材による原稿づくりを字遊堂にお任せください。手元にあるのがテーマを書いたメモ1枚でも、そこから想定読者と章立てを一緒に決めるところから始められます。

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