公開日 2026年10月07日
「SEOで専門性を高めるなら、まず監修者を付けて資格を載せればいい」。SEO会社の提案書や対策の解説で、監修者の設置が定番の施策として挙げられているため、肩書きをそろえるところから始めようと考える担当者は多いはずです。
しかし、肩書きをそろえただけでは、記事に専門性は表れません。字遊堂はこれまで、多くの企業で現場の担当者に取材し、その知識を記事に書き起こしてきました。そこで見えてきたのは、専門性を伝えるのは肩書きではなく、記事の中に書かれた「どの条件なら、どう判断するか」の一文だということです。監修者を付けるのは、その一文を書けるようになってからでも遅くありません。
本記事では、E-E-A-Tの中での専門性の位置づけから、記事で専門性を示す方法、社内の専門知識を取材で引き出す手順まで、取材記事の作り手の視点で順を追ってお伝えします。
SEOにおける専門性とは
SEOにおける専門性とは、記事を作った人が、そのテーマに必要な知識や技能を持っているかどうかを指します。Googleが検索結果の品質を確かめるために作った「検索品質評価ガイドライン」に出てくる考え方で、英語のExpertiseを訳した言葉です。
専門性は単独で語られることが少なく、経験・権威性・信頼性と合わせて、4つの英語の頭文字から「E-E-A-T」と呼ばれています。2022年12月に経験(Experience)が加わるまでは、3つの頭文字を取ってE-A-Tと呼ばれていました。
| 評価軸 | 英語 | 問われること |
|---|---|---|
| 経験 | Experience | 書き手がその商品を使ったり、その場面を体験したりしているか |
| 専門性 | Expertise | 書き手がテーマに必要な知識や技能を持っているか |
| 権威性 | Authoritativeness | 書き手やサイトが、分野の情報源として広く認められているか |
| 信頼性 | Trustworthiness | 内容が正確で運営者が明らかで、読者が安心して使えるか |
どんな知識が専門性に当たるかは、読者がその記事で何を判断しようとしているかで変わります。料理のレシピなら作り慣れた人の技能が、税金の記事なら制度を正確に読み解く知識が、専門性として求められるでしょう。医療や法律のように、誤りが読者の健康やお金に直結するテーマでは、資格や実務経験を持つ人の知識が求められます。
専門性とほかの評価軸との違い
専門性がほかの3つの評価軸と違うのは、書き手が「何を知っているか」を問う点です。4つの評価軸は重なる部分が多く、違いを押さえておかないと、専門性を高めるつもりで別の評価軸の施策ばかりに手間をかけることになります。
経験との違い
専門性と経験の違いは、知識で語るか、体験で語るかにあります。登山用品の記事でいえば、素材ごとの保温性の違いを説明できるのが専門性で、冬の山で実際にそのウェアを着て寒さをどう感じたかを書けるのが経験です。
専門性が高いのに経験の無い書き手もいれば、その逆の書き手もいるはずです。記事の種類によって、先に問われる評価軸は次のように分かれます。
| 記事の種類 | 先に問われる評価軸 | 理由 |
|---|---|---|
| 商品のレビュー、旅行記 | 経験 | 読者が使った感想や現地の様子を知りたいから |
| 制度や仕組みの解説 | 専門性 | 読者が正しい手順や判断の基準を知りたいから |
権威性との違い
専門性と権威性の違いは、書き手自身が持つ力か、周りからの評価かにあります。専門性は書き手が知識を持っているかを問い、権威性はその書き手やサイトが、分野の情報源としてほかから参照されているかを問います。
知識が豊富な書き手でも、まだ誰にも知られていなければ、権威性は低いままです。権威性を示す材料になるのは、ほかのサイトからのリンクや言及、業界団体での役職、新聞や雑誌への掲載などです。記事に表す専門性は作る側の工夫で増やせますが、権威性は時間をかけて外部から積み上がっていくと見ています。
信頼性との違い
専門性と信頼性の違いは、部分と全体の関係にあります。検索品質評価ガイドラインは4つの評価軸のうち信頼性を最も重要なものと位置づけており、経験・専門性・権威性は信頼性を支える材料という関係です。ただし、Googleは4つすべてで優れている必要はないとも説明しています。
専門知識のある書き手が作った記事でも、事実の誤りがあったり、運営者が分からなかったりすれば、信頼性は低いと判断されます。SSL化(通信の暗号化)や運営者情報の掲載は信頼性を支える施策で、専門性を直接高めるものではありません。
専門性が検索順位に結びつく仕組み
専門性が検索順位に結びつくのは、Googleの検索システムが、専門性の高い記事に共通する特徴を、順位を決める手がかりの1つとして使っているからです。E-E-A-Tそのものは、点数として順位の計算に入っている指標ではありません。
検索品質評価ガイドラインは、Googleが外部の評価者に検索結果の品質を採点してもらうための手引きです。評価者の採点は個々のページの順位を直接動かさず、検索システムの改良がうまくいっているかを確かめる材料として使われます。
では、Googleは作り手に、専門性の目安として何を示しているのか。記事の作り手向けの資料「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」(Google検索セントラル)には、専門性に関する4つの自己点検の問いが明記されています。要点を言い換えると、次のとおりです。
- 情報源や書き手の経歴など、内容を信頼できる根拠が示されているか
- サイトを調べた人が、そのテーマの権威として信頼されていると感じるか
- テーマを熟知した専門家や愛好家が書いた、または確認した記事か
- 明らかな事実誤認が無いか
4つのうちサイトの評判を問う1つを除けば、どれも記事を読めば答えが分かる問いです。Googleが記事から確かめられるのは本文に表れた専門性で、書き手の頭の中にある知識そのものではありません。
YMYLの分野で求められる専門性の水準
YMYLの分野で求められる専門性の水準は、ほかの分野より高く設定されています。YMYLは「Your Money or Your Life」の略で、健康・お金・安全など、誤った情報が読者の人生に大きな損害を与えかねないテーマを指します。
| 分野 | テーマの例 | 求められやすい書き手 |
|---|---|---|
| 健康・安全 | 病気の症状、治療法、薬の飲み方、災害への備え | 医師、薬剤師、行政機関など |
| お金 | 税金、保険、投資、ローン | 税理士、ファイナンシャルプランナーなど |
| 政府・市民生活・社会 | 選挙や投票、行政の手続き、法律の制度 | 行政機関、弁護士、行政書士など |
YMYLの分野でも、すべての記事を資格者が書く必要があるわけではありません。病気と長く付き合ってきた人の暮らしの工夫のように、経験が専門性を補う記事もあります。ただし、治療の選び方や薬の量のように、判断を誤ると健康を損なう内容は、資格を持つ人が書くか確認したうえで公開するのが原則です。
YMYLに当たらない趣味や娯楽の分野では、資格よりも、テーマを実際に扱い慣れているかが問われます。検索品質評価ガイドラインでも、日常の経験から得た知識で十分とされるテーマが多くあります。
記事で専門性を示す5つの方法
記事で専門性を示す方法は5つあり、どれも書き手の知識を、読者とGoogleが確かめられる形で記事に載せる工夫です。
テーマの絞り込み
テーマの絞り込みは、サイト全体として何に詳しいのかを読者とGoogleに伝える方法です。税理士事務所のサイトに相続税の記事と並んで旅行のおすすめ記事があると、どの分野に詳しいサイトなのかがぼやけます。
同じ分野の記事を増やし、関連する記事どうしを内部リンク(サイト内の別ページへのリンク)でつなぐと、テーマの広がりと深さが1つのサイトの中で読み取れるようになります。絞り込みは、記事の数を減らすことではありません。中心のテーマから、読者が次に知りたくなる周辺のテーマへ広げていけば、専門性を保ったまま記事を増やせます。
書き手と監修者の情報
書き手と監修者の情報は、誰の知識で作られた記事なのかを示す材料です。記事の冒頭か末尾に名前と経歴を載せ、詳しいプロフィールページへリンクします。
| 載せる項目 | 書き方 |
|---|---|
| 名前 | 実名か、活動で一貫して使っている名前を載せる |
| 担当業務と年数 | その分野で何をどれだけの期間担当してきたかを書く |
| 資格と所属 | 保有資格や所属する団体を書く |
| ほかの発信 | 書いた記事や著書、登壇の記録へリンクする |
プロフィールの内容は、記事のテーマと結びついている必要があります。経歴が立派でも記事の分野と関係が無ければ、その記事の専門性を示す材料にはならないからです。
一次情報の掲載
一次情報とは、自社で集めたデータ、現場での観察、顧客から受けた質問など、ほかのサイトには無い情報を指します。ほかの記事をまとめただけの記事は、どれだけ正確でも、書き手が分野に詳しいかどうかを判断する材料になりません。
自社の実務で数えた件数や、作業にかかる時間の幅を載せると、その分野で実際に手を動かしている書き手だと読み取れます。数値を載せるときは、いつ、どの範囲で集めた数字かを添えます。時期や対象の書かれていない数字は、読者が自分の状況に当てはめられないためです。
条件と例外の書き込み
条件と例外の書き込みは、専門家と初心者の記事の差がいちばん表れる方法です。「洗濯物は日なたに干す」とだけ書く記事と、「綿や麻の衣類、濃い色や柄物は紫外線で色があせやすいため、裏返すか日陰に干す」と書く記事では、読者が自分の洗濯物にどちらを当てはめればよいかが違ってきます。
条件と例外は、経験の浅い書き手ほど書き落としやすい部分です。読者にとっても、条件が書かれていれば、自分の場合に当てはまるかを判断できます。専門性がいちばん表れるのは、答えが成り立たない条件まで書いた一文です。
情報の更新
情報の更新は、分野の変化を追い続けていることを示す方法です。法律や制度、料金、製品の仕様は定期的に変わり、公開時には正しかった記事も、放っておくと誤りを含む記事になってしまいます。
更新した日付を記事に表示し、何を変えたかを短く書き添えると、読者は情報がいつの時点のものかを判断できます。日付だけを新しくして本文を変えない更新は避けましょう。読者が記事を読み進めて古さに気づいたとき、日付との食い違いがかえって信頼を損ないます。
社内の専門知識を取材で記事に移す3つの手順
社内の専門知識を記事に移すなら、専門家に書いてもらうより、取材で引き出して書き手がまとめるやり方が向いています。専門家は知識があっても記事を書く時間が取りにくく、書き手は文章を整えられても、知識が無いために一般論の記事になりがちだからです。
| 作り方 | 起こりやすいこと |
|---|---|
| 専門家が自分で書く | 当たり前の判断が書き落とされ、専門用語が説明なしで並ぶ |
| 書き手が調べて書く | 上位の記事と同じ一般論になり、条件や例外が抜ける |
| 取材して書き手がまとめる | 専門家の判断を、読者が分かる言葉で記事に残せる |
とりわけ記事に表れにくいのが、専門家自身が当たり前だと思っている判断です。字遊堂も記事の制作では取材を基本にしており、本人が書き落とす判断を、問いを重ねて引き出しています。
質問項目の準備
質問項目の準備では、知識を尋ねる質問より、判断の場面を尋ねる質問を多く用意します。「〇〇とは何ですか」と聞くと、専門家は教科書と同じ説明を返しがちです。「お客様から〇〇と相談されたら、最初に何を確かめますか」と聞けば、実務で使っている判断の順番が出てきます。
質問は、キーワードで検索してくる読者の疑問から逆算して作ります。上位の記事の見出しを並べ、そこに書かれていない疑問を探すと、取材で聞くべき点が絞れるでしょう。
判断理由の聞き取り
判断理由の聞き取りでは、専門家の答えに対して「なぜそう判断するのか」「そうしないのはどんなときか」を重ねて聞きます。条件と例外は専門家が自分から話すことが少なく、2つ目の問いで初めて出てくることが多いと感じています。
専門家が「場合による」と答えたときこそ、何によって変わるのかを聞き返す好機です。答えの分かれ目になる条件が分かれば、記事では条件ごとに答えを書けます。聞き取った言葉は、専門用語をそのまま残さず、読者が使う言葉に置き換えておきましょう。
専門家の原稿確認
専門家の原稿確認は、書き手が読者向けに言い換えた部分で、意味がずれていないかを確かめる手順です。言い換えで条件が抜けたり言い切りすぎたりする誤りは、書き手には気づきにくく、専門家が読めばすぐに分かります。
確認を頼むときは、全文を渡すだけでなく、言い換えた箇所と、数値や条件を書いた箇所に印を付けて渡します。確認する箇所が絞られるため、言い換えのずれを見落としにくくなるはずです。確認した人の名前と確認日を記事に載せれば、監修の実態も読者に伝わります。
専門性の対策で起こりやすい3つの誤解
専門性の対策で起こりやすい誤解は3つあり、どれも記事の外側の形を整えるだけで、本文の中身が変わらない点で共通しています。
監修者を付ければ足りるという誤解
監修者を付けても、監修者が本文に手を入れていなければ、記事に専門性は表れません。監修者の名前と経歴は誰が確かめたかを示す材料で、記事の中身そのものを変えるものではないからです。
監修者を立てるなら、構成の段階から関わってもらい、条件や例外を書き足すところまでを依頼に含めます。依頼の範囲が「誤りが無いかの確認」だけだと、誤りは無くても一般論のままの記事になりやすいと見ています。
資格が無いと専門性を示せないという誤解
資格が無くても、専門性は示せます。求められる専門性の種類はテーマによって違い、YMYLに当たらない多くのテーマでは、実務や日常の経験から得た知識が専門性の材料になります。
資格の無い書き手が専門性を示す材料は、実務の年数、扱った件数、現場で迷った判断の場面などです。ただし、病気の診断や税務の判断に踏み込むYMYLの記事は例外で、資格を持つ人が書くか、確認する必要があります。
専門用語が多いほど評価されるという誤解
専門用語を多く使っても、専門性の評価は上がりません。読者が知らない語が説明なしに並ぶと、読者は途中で読むのをやめ、目的の答えにたどり着けないからです。
| 書き方 | 例 |
|---|---|
| 専門用語をそのまま使う | 相続放棄は熟慮期間内に申述します |
| 言い換えを添える | 相続放棄は、自分が相続人になったと知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てます |
なお、3か月の期間は、期間内に家庭裁判所へ申し立てれば延ばせる場合があります。専門家らしさは、難しい語を平易に言い換えても意味がずれない、説明の正確さに表れるものです。
SEOの専門性でよくある質問
個人のブログでも専門性は示せる?
個人のブログでも専門性は示せます。書き手の名前と、その分野に関わってきた年数や経歴をプロフィールに載せ、同じテーマの記事を自分の判断で積み重ねていけば、法人のサイトと同じ材料がそろいます。
法人のサイトと違うのは、運営者の情報が書き手個人の情報と重なる点です。問い合わせ先と、記事の誤りを指摘されたときに直す方針を載せておくと、読者は安心して記事を読めます。
AIで書いた記事は専門性が低いと判断される?
AIで書いた記事が、AIを使ったことだけを理由に専門性が低いと判断されることはありません。Googleは作り方より内容の品質を見るという方針を示しており、問題にしているのは、検索順位を操作する目的で記事を大量に自動生成することです。
AIは上位の記事に書かれた一般論をまとめるのは得意ですが、自社の実務で得た条件や例外は知りません。AIで下書きを作る場合も、専門家への取材や確認で、AIが書けない判断を足す工程が要ります。記事の作成にAIを多く使ったときは、使ったことと使い方を読者に示す方法もGoogleが勧めています。
専門性を測るスコアはある?
専門性を測る公開のスコアはありません。E-E-A-Tは順位の計算に入る単独の指標ではなく、ツールが出す「E-E-A-Tスコア」のような数値は、各社が独自に推定したものです。
自社で手応えを確かめるなら、次の2つの方法があります。
- Googleの自己点検の問いに、自社と関係の無い人に答えてもらう
- 専門性を高めた記事で、関連する検索語句の表示回数がどう変わるかをGoogleサーチコンソールで追う
まとめ|肩書きより記事の中身で示す専門性
SEOにおける専門性は、E-E-A-Tの4つの評価軸の1つで、書き手がテーマに必要な知識を持っているかを問うものです。**監修者や資格は専門性の裏付けにはなりますが、専門性そのものは、記事の本文に書かれた判断と条件で伝わります。**手元の記事は、次の4点で見直せます。
- 書き手か監修者の名前と、記事の分野に結びつく経歴が載っているか
- 自社で集めた数字や、現場で受けた質問が入っているか
- 答えが成り立たない条件と例外が書かれているか
- 更新日と、変えた内容が書かれているか
字遊堂はこれまで、多くの企業で現場の担当者に取材し、その判断を読者の言葉に置き換えて記事にしてきました。社内に詳しい人はいるのに記事に書き起こす時間が取れない、書いた記事が上位の記事と同じ一般論に寄ってしまう。そうした悩みがあれば、社内の専門家への取材から字遊堂にご相談ください。

