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インタビューの時間管理は質問の削り方で決まる|時間配分と進行のコツ

公開日 2026年10月05日

インタビュー 時間管理

「60分あれば、用意した15個の質問は全部聞けるはず」。質問リストは取材の前に机の上で作るため、相手が一つの質問に答えるのにかかる時間までは見積もりにくいものです。ところが当日は前置きや脱線で時計が進み、最後の数問を駆け足で済ませたまま終了時刻を迎えることがあります。

しかし、時間切れを防ぐ決め手は、当日に時計をこまめに見ることではありません。字遊堂はこれまで、経営者へのインタビューや社員取材、社史のための聞き取りなど、取材をもとにした記事を数多く手がけてきました。時間内に必要な話を聞き切るために先に決めておきたいのは、どの質問から削るかという順番です。

本記事では、インタビューで時間が足りなくなる原因から、時間配分の目安、当日の進め方、時間が押したときの対処まで、取材記事を書く制作会社の視点で順を追ってお伝えします。

インタビューで時間が足りなくなる3つの原因

インタビューで時間が足りなくなる原因は、質問の多さ、本題までの前置き、話の脱線の3つに分かれます。どの原因も当日の進め方だけで解決するものではなく、取材前の準備が足りないまま本番を迎えたときに表に出てきます。

持ち時間に対する質問の多さ

質問の数が持ち時間に対して多すぎると、後半の質問ほど答えを聞く時間が削られます。質問リストを作る段階では、一つの質問に相手が1〜2分で答えてくれる前提で数を見積もりがちです。

実際には、答えの中に出てきたエピソードを掘り下げる追加の質問が入るため、一つの質問にかかる時間は5分前後まで延びることもあります。用意した質問を全部読み上げることを目標にすると、深く聞くべき答えまで「ありがとうございます。では次に」と流してしまいかねません。

本題に入るまでの前置きの長さ

前置きが長くなると、本題に使える時間がそのまま減ります。前置きには、挨拶と名刺交換、取材の趣旨説明、記事の公開までの流れの説明が含まれます。場を和ませる雑談まで加えると、60分の取材でも本題に入るころには10分以上が過ぎていることがあるのです。

雑談そのものは、相手の緊張をほぐすのに欠かせない時間です。ただ、次の3点は取材依頼のメールで先に伝えておけば、当日は一言の確認で済ませられます。

事前に送れる項目

当日に省ける説明

取材の趣旨と記事の掲載先

記事の目的と読者の説明

主な質問の項目

何を聞くかの前置き

原稿確認の流れと公開予定時期

公開までの段取りの説明

話の脱線を引き戻す準備不足

話の脱線は、本題へ戻すための一言を用意していないときに長引きます。相手が気持ちよく話している最中に話題を変えることに、聞き手が心理的な抵抗を感じるからです。

脱線を放置すると10分、15分と時間が流れ、記事の核になる質問を聞く時間が残らなくなります。とはいえ、脱線した話に記事で使えるエピソードが含まれていることもあるため、すべてを止めればよいわけではありません。追うか戻すかを決める基準と、戻すときの言い回しを事前に持っておくと、取材中に迷う時間がなくなります。

インタビューの時間配分の目安

インタビューの時間配分は、冒頭の説明、本題の質問、締めの確認の3つに分け、本題に全体の7割以上を充てるのが目安です。下の表は、取材記事1本分のインタビューを想定した配分の一例を示しています。

区分

30分の場合

60分の場合

主な中身

冒頭

3分

5分

挨拶、趣旨の確認、録音の許可

本題

22分

45分

用意した質問と深掘り

締め

5分

10分

聞き漏れの確認、簡単な撮影、今後の流れ

配分の数字は、相手の話す速さや通訳の有無、対面かオンラインかで前後します。逐次通訳を挟む取材では、同じ質問でも答えが届くまでに倍近い時間がかかるため、質問の数を半分ほどに絞って組み立てましょう。30分の取材では締めの5分で撮影まで終えるのは難しいため、撮影がある場合は別枠で時間を確保します。

30分インタビューの配分と質問数

30分のインタビューで扱える主な質問は、5〜6問が目安です。本題に使える22分前後を、1問あたり3〜4分の答えと深掘りで割ると、5〜6問に収まる計算になります。

30分の取材は、テーマを1つに絞った記事に向いています。新サービスの開発の経緯を聞く取材なら、きっかけ、苦労した点、利用者に伝えたいことの3問を軸にし、残りの2〜3問で数字や具体例を補えば時間内に収まるはずです。逆に、会社の歴史と今後の展望を両方聞く取材を30分で組むと、どちらの話題も浅い答えしか集まりません。

60分インタビューの配分と質問数

60分のインタビューで扱える主な質問は、8〜10問が目安です。経営者インタビューや社員インタビューのように、人物の経歴と考え方を1本の記事にまとめる取材でよく選ばれる長さでもあります。

60分の取材では、前半で経歴や事実関係を短く確かめ、後半に考え方やエピソードを聞く時間を残す並べ方にすると、深掘りに使える時間を確保しやすくなるでしょう。1対1の取材記事では、60分を超えると聞き手と相手の両方の集中が続きにくくなると見ています。90分以上の内容が必要な取材は、1回で詰め込まず2回に分けて設定する方法もあります。

インタビュー前にできる時間管理の準備

インタビューの時間管理は、取材前の準備で大半が決まります。準備の中身は、質問リストの作成、進行表の用意、相手との事前共有の3つです。

原稿から逆算した質問リストの作成

質問リストは、完成させたい原稿の見出し案から逆算して作ると、聞くべき質問の数を絞れます。原稿に3つの見出しを立てる予定なら、それぞれの見出しの本文に使う答えを得るために、質問を2〜3問ずつ用意するという考え方です。

見出しに結び付かない質問は、相手の答えが面白くても原稿には使われにくくなります。「せっかくの機会だから」と質問を足していくと、リストは20問、30問と膨らみかねません。原稿の見出し案を先に作っておけば、足そうとした質問がどの見出しの材料になるのかを確かめてから追加できます。

時間の目印を入れた進行表

進行表は、質問リストに「何分の時点でどこまで進んでいるか」の目印を書き加えたものです。グループインタビューなどの調査では進行表を作るのが一般的ですが、1対1の取材でも同じ考え方が使えます。60分の取材なら、次のように区切ると進み具合を確かめやすくなります。

経過時間

進行の目印

0〜5分

挨拶、趣旨の確認、録音の許可

5〜20分

経歴と事実関係の質問

20〜40分

考え方と具体的なエピソードの質問

40〜50分

今後の展望の質問

50〜60分

聞き漏れの確認と写真撮影

目印を1つだけ置くなら、置き場所は中間地点の30分です。30分の時点で予定の質問の半分に届いていなければ、後半で削る質問を決める合図にできるからです。

相手への所要時間と流れの事前共有

所要時間と当日の流れを事前に伝えておくと、相手も時間を意識しながら話を組み立ててくれます。取材依頼のメールに終了時刻、主な質問の項目、写真撮影の有無を書いておけば、当日の冒頭の説明も短くて済むはずです。

質問の項目を事前にどこまで送るかは、取材の目的で変わります。事実関係や数字を正確に聞きたい取材では、質問文まで送っておくと相手が資料を用意でき、当日に「確認して後でお送りします」となる回数が減るでしょう。一方、自分の言葉で語ってほしい経営者インタビューでは、項目だけを送り、細かな質問文は送らない方法もあります。準備しすぎた答えは原稿を読み上げるような話し方になり、記事に使える生きた言い回しが減りやすいためです。

質問を削る順番の決め方

質問を削る順番は、原稿が成り立つために欠かせない答えかどうかで、質問をA・B・Cの3段階に分けて決めます。時間が押したときに慌てやすいのは、どの質問を削ってよいかを取材中に考え始めることになるからです。

質問を分ける3段階の優先順位

質問の優先順位は、原稿のどこに使う答えかで3段階に分かれます。

段階

質問の役割

時間が押したときの扱い

A

記事の核になる答えを得る質問

必ず聞く

B

原稿に具体例や数字を足す質問

2問を1問にまとめて聞く

C

時間が余れば聞きたい質問

削って後日に補う

Aに当たる質問は、30分の取材なら2〜3問、60分なら3〜4問までに絞ります。Aが多すぎると、Aの中でさらに順番を付ける必要が生まれ、取材中に迷う時間が増えるからです。

Aの質問は、本題の前半から中盤に置きます。相手が話に慣れてから聞きたい質問であっても、終了の15分前より後ろには回しません。終盤に回したAの質問は、時間が押したときにいちばん先に聞けなくなるためです。

残り時間に応じた削り方

中間地点で遅れが出ていたら、まずCを丸ごと削り、それでも足りなければBを1問にまとめます。「導入後に変わったこと」と「社内の反応」を別々に聞く予定だったなら、「導入後に社内で変わったことを一つ挙げるとすれば何ですか」とまとめると、答えの中で両方に触れてもらえるでしょう。

脱線への対応も、優先順位で判断できます。脱線した話がAの答えにつながりそうなら追いかけ、追った時間の分だけCを捨てるという考え方です。Aにつながらない脱線は、区切りのよいところで本題へ戻しましょう。

とりわけ見落とされやすいのが、事実や数字を確かめる質問ほど後から補いやすいという点です。設立年や従業員数、導入した時期といった質問はメールでも正確に答えてもらえますが、考え方やエピソードは対面の会話でなければ引き出しにくいと感じています。迷ったら、BとCのうち事実や数字を確かめる質問から先に削り、話を聞く質問に時間を残します。

インタビュー中の時間管理のコツ

インタビュー中の時間管理のコツは、時間を気にしていることを相手に感じさせないまま、進み具合を把握することです。急かされていると感じた相手は答えを短く切り上げるため、時計の扱い方ひとつで集まる話の量が変わります。

冒頭での終了時刻の共有

終了時刻は、冒頭の挨拶の中で口に出して伝えると、相手と聞き手が同じ時刻を目安に話を進められます。「本日は11時までお時間をいただいていますので、〇〇と〇〇について伺います」と、時刻と扱うテーマをまとめて伝えましょう。

事前のメールで伝えていても、当日にもう一度言葉にしておく意味はあります。終了時刻が近づいたときに「冒頭でお伝えした時刻が近づいてきましたので」と切り出せるため、時間を理由に話を区切っても失礼な印象を与えにくくなるのです。

話を本題へ戻す一言

脱線した話は、相手の話を受け止める一言を挟んでから戻すと、相手の気分を損ねずに本題へ戻せます。いきなり次の質問に移ると、相手は話を遮られたと感じやすいためです。

  • 「今のお話は〇〇にもつながりそうですね。〇〇について、もう少し伺えますか」
  • 「興味深いお話なので、最後に時間があればもう一度お聞かせください」
  • 「時間の関係で、一度本題に戻らせてください」

「最後に時間があれば」と伝えておけば、脱線した話題を後回しにしても失礼に受け取られにくくなります。実際に時間が余ったときは、約束どおり脱線した話題に戻ると、相手との信頼関係を保ったまま取材を終えられます。

相手の視界に入らない時計の置き方

時計は、聞き手のメモや質問リストのすぐ横に置き、相手から見えない向きにします。話の途中で腕時計に目をやると、相手は急かされていると受け取り、答えを短く切り上げてしまうことがあります。

オンライン取材では、画面の端にタイマーを表示するか、手元にスマートフォンのストップウォッチを置くとよいでしょう。画面に向かって話す聞き手の視線が横へ大きく動くと、相手には上の空に見えかねません。タイマーをカメラに近い位置に置けば、目線の動きが目立たずに済みます。

録音を前提にしたメモの取り方

メモは、相手の言葉を書き写すのではなく、経過時間と話題の目印だけを書くと、聞くことに集中できます。録音していれば、答えの細部は後から文字起こし(録音を文字に書き起こす作業)で確かめられるからです。

メモに「12分 開発のきっかけ」「25分 売上の数字あり」のように経過時間を添えておくと、原稿を書くときに録音のどこを聞き直せばよいかがすぐに分かります。録音は取材依頼の段階で打診し、当日の冒頭でも改めて許可を得てから始めます。許可が得られない取材では要点を書き取るメモに切り替えるため、Cの質問を先に削り、聞き取りと書き取りに使う時間を残しておきましょう。

インタビューの時間が押したときの対処

インタビューの時間が押したときの対処は、延長をお願いするか、聞き残しを後日に回すかの2つです。どちらを選ぶかは、Aの質問が残っているかどうかで決まります。

残っている質問

選ぶ対処

Aの質問

終了の10分前に延長を相談する

BとCの質問だけ

時間どおりに終え、後日に補う

延長をお願いするときの伝え方

延長の相談は、終了時刻の直前ではなく、10分前を目安に切り出します。終了間際に頼むと、相手は次の予定に移る準備を始めていて、断りにくい状況でお願いする形になるからです。

伝えるときは、延長してほしい時間と聞きたい中身を具体的に添えます。「〇〇についてあと1問だけ伺いたいので、5分ほど延長してもよろしいでしょうか」と聞けば、相手は次の予定と照らして判断できるでしょう。延長を断られたら、残ったAの質問を1問に絞り、締めの確認の時間に聞きます。相手が経営者などで後ろの予定が詰まっていると分かっている取材は、延長を前提にせず、質問の数を最初から少なめに組んでおきます。

聞き残しを補う後日の確認

聞き残した質問は、取材後のお礼のメールで、答えやすい形にして送ります。質問は2〜3問に絞って箇条書きにし、「一言でも構いません」と添えると、返信の負担が軽くなるはずです。

メールで補うのに向いているのは、事実や数字を確かめる質問です。考え方やエピソードを聞く質問をメールで送ると、短い文章の答えしか返ってこないことが多いため、Aの質問が残った場合は15分ほどの電話やオンライン取材を改めてお願いしましょう。原稿確認の依頼に合わせて「この箇所の数字を教えてください」と原稿の中で尋ねる方法も、相手が文脈を見ながら答えられるので使いやすい手段です。

時間を守っても失敗するインタビュー

時間どおりに終わったインタビューでも、原稿に使える答えが集まっていなければ、時間管理としては失敗です。時間を守ることが目的になると、取材の中身が次のような形で削られていきます。

失敗の形

原稿に出る影響

質問リストの順番どおりの読み上げ

答えが浅く、どの会社の記事にも書ける内容になる

相づちや聞き返しの省略

相手が話しにくくなり、答えが短くなる

締めの確認の省略

固有名詞や数字の確認が漏れ、原稿確認の手間が増える

時間配分を守れたかより、Aの答えが揃ったかで取材の出来を判断します。進行表の時刻から5分遅れていても、Aの答えが深く聞けているなら、Cを削って帳尻を合わせれば済みます。反対に、時刻どおりに進んでいてもAの答えが一言で終わっているなら、Bを削ってでもAを掘り下げる質問に時間を回すべきです。

よくある質問

インタビューの時間管理で迷いやすい点を、質問と回答の形でまとめました。

インタビューは何分に設定するのがよいか

インタビューの時間は、取材記事1本分なら60分に設定すると収まりやすくなります。テーマを1つに絞った短い記事なら30分でも足りますが、複数カットの撮影や場所を移しての撮影を同じ枠で行うときは、撮影の分として10〜15分を足しておきましょう。相手が経営者などで時間を取りにくい場合は、30分で依頼し、質問をAとBに絞って組み立てます。

オンライン取材でも時間配分は同じか

オンライン取材の時間配分は、対面とほぼ同じ考え方で組めます。ただし、接続の確認や音声の不調で冒頭に数分かかることがあるため、冒頭の時間は対面より3〜5分長く見ておくと安心です。開始の5分前には接続できる状態にしておくよう事前のメールで伝えておけば、本題の時間を削らずに済みます。

相手の話が短く時間が余ったらどうするか

相手の話が短く時間が余ったときは、Cの質問に進む前に、Aの答えを深掘りする質問に時間を使います。「具体的にはどんな場面でしたか」「その場面で、どう感じましたか」と場面や気持ちを聞く質問を重ねると、原稿に使える話が増えるはずです。聞きたいことを聞き終えたなら、終了時刻まで無理に引き延ばさず、早めに切り上げてもかまいません。

まとめ|質問の優先順位から逆算する時間管理

インタビューの時間管理は、当日の時計の見方よりも、取材前にどの質問から削るかを決めておくことで安定します。質問をA・B・Cの3段階に分けてAを前半に置き、中間地点の目印で遅れを確かめておけば、時間が押してもAの答えは残せます。取材の前日には、次の3点がそろっているかを見直してください。

  • 質問リストのすべての質問に、A・B・Cのどれかが付いているか
  • 進行表の中間地点に、時刻の目印が入っているか
  • 終了時刻と主な質問の項目を、相手に事前に伝えたか

字遊堂はこれまで、経営者や社員への取材をもとに、Web記事や採用コンテンツ、社史を制作してきました。限られた取材時間で記事に使える話を引き出すには、質問を作る段階から原稿の形を思い描いておく必要があります。社内でインタビュー記事を始めたいものの、質問リストの作り方や当日の進め方に手応えが持てない場合は、取材の設計から原稿の執筆までを字遊堂にご相談ください。

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