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インタビューのやり方|取材のプロが教える準備から当日の聞き方まで

公開日 2026年10月02日

インタビュー やり方

「インタビューは、聞き上手な人でないとうまくいかないのでは」。テレビ番組や動画で見るインタビュアーが軽やかに話を広げていくため、取材の出来は当日の話術で決まると考える人が多いはずです。

しかし、字遊堂はこれまで、社史や採用記事の制作で多くの経営者や社員の方にお話をうかがってきました。その経験で実感しているのは、話術より先に、取材前に立てる「仮説」が原稿の中身を左右するということです。仮説を持って臨み、外れたところを深掘りすれば、話すのが得意でない人でも記事に必要な話にたどり着けるはずです。

本記事では、準備の手順から当日の進め方、話を引き出す聞き方、終わったあとの対応までを、取材記事をつくる側の視点で順を追ってお伝えします。

インタビューは目的で変わる

インタビューとは、相手に質問を投げかけ、その答えから情報や考えを引き出す対話のことです。ひと口にインタビューといっても、何に使うかによって準備も聞き方も変わります。まずは、自分が担当するインタビューがどれに当たるのかを確かめておきましょう。

目的 主な場面 聞き出したいもの やり方の特徴
記事のための取材 オウンドメディア、採用記事、導入事例 人柄が伝わる言葉とエピソード 読者を想定して質問を組み、話の流れに合わせて深掘りする
調査のためのインタビュー 商品開発、顧客理解 行動や判断の理由 質問の軸をそろえ、聞き手の意見を挟まない
記録のための聞き取り 社史、周年記念誌、事業承継の記録 出来事の経緯と当事者の思い 年代順に事実を確かめながら、当時の判断を聞く

本記事では、Web記事や社内報などに使う「記事のための取材」を中心に解説します。調査や記録が目的の場合でも、準備と聞き方の基本は変わりません。

インタビューの準備は5つある

当日の出来は、準備の段階でほぼ決まります。準備といっても特別な作業ではありません。次の5つを順番に片づけていけば、初めてのインタビューでも落ち着いて当日を迎えられるでしょう。

目的と読者を決める

誰に何を伝える記事なのかが曖昧なままでは、質問を作れません。採用記事なら「入社を迷っている求職者が、職場の様子を知るため」、導入事例なら「同じ課題を抱える企業の担当者が、導入後の変化を知るため」のように、読者と読んだあとの行動を一文で書き出してみてください。この一文が、当日に話が脱線したときの戻り先になるのです。

あわせて、記事を一問一答のQ&A形式にするか、語り手の一人称でまとめるかも決めておくと、必要な話の量が見えてきます。

相手を事前に調べる

会社のWebサイト、過去のインタビュー記事、SNSでの発信、著書があればそれにも目を通しておきます。調べればわかることを当日に聞くと、相手は「基本から説明しなければならない」と感じ、話す意欲が下がりがちです。反対に、事前に知った事実をふまえて「〜と拝見しましたが、そのきっかけは何だったのでしょうか」と聞けば、相手は一段深い話から始められるでしょう。

質問項目を作る

質問は思いつくまま書き出したあと、話の流れに沿って並べ替えます。基本は、答えやすい事実の質問から始め、考えや思いを聞く質問を中盤に置き、今後の展望で締める順番です。数は、所要時間が1時間なら10問前後がひとつの目安で、相手の話す量によって前後します。

段階 採用記事での質問の例
序盤(事実) 現在の担当業務を教えてください。入社して何年目になりますか
中盤(経緯と考え) この会社を選んだ決め手は何でしたか。仕事で手応えを感じたのはどんな場面でしたか
終盤(展望) 今後挑戦したいことは何ですか。応募を考えている方に伝えたいことはありますか

優先順位も付けておきましょう。時間が押したときに「これだけは聞く」という質問に印を付けておくと、当日に慌てずに済みます。

取材を依頼する

依頼の際は、掲載媒体、記事の目的、所要時間、撮影の有無、原稿確認の流れを伝えます。なぜその人に話を聞きたいのかを具体的に書き添えると、引き受けてもらえる見込みも高まるはずです。

質問項目は、取材の数日前までに相手へ送っておくのが一般的です。答えを考えておいてもらえるため、年号や数字の確認が必要な話も当日に滞りなく進みます。ただし、質問の文言どおりに進める必要はありません。送る際に「当日は話の流れに合わせて質問を変えることがあります」と伝えておけば、予定外の深掘りもしやすくなります。

機材と場所を整える

録音は、機材の不具合に備えて2台で行うと安心です。当日の持ち物は、次の項目で確認しておきましょう。

  • ICレコーダーやスマートフォンなどの録音機器を2台用意したか
  • 予備の電池と充電ケーブルを持ったか
  • 質問項目を印刷した紙と筆記用具があるか
  • 撮影がある場合、カメラの準備と撮影場所の下見を済ませたか
  • オンラインの場合、通信環境と録画設定を確かめたか

場所は、周囲の話し声や空調の音が入りにくい個室が理想です。カフェのような開けた場所は相手がくつろげる反面、録音が聞き取りにくくなる点に注意してください。

インタビュー当日は4段階で進む

当日の流れは、大きく4つの段階に分けられます。段階ごとの時間配分を決めておくと、終盤に質問が残って慌てることもなくなるでしょう。

段階 時間の目安(1時間の場合) やること
導入 5分 自己紹介と雑談
確認 5分 取材の目的と流れの説明、録音の許可
本題 40〜45分 質問と深掘り
締め 5〜10分 聞き漏れの確認と、今後の流れの説明

時間はあくまで目安であり、相手の話し方によって伸び縮みします。

雑談で緊張をほぐす

インタビューを受け慣れていない相手ほど、最初は緊張しているものです。いきなり本題に入らず、当日の天気やオフィスの印象など、答えに迷わない話題で数分ほど言葉を交わしましょう。聞き手が先に自分のことを少し話すと、相手も口を開きやすくなります。

録音の許可を取る

本題に入る前に、記事の目的、所要時間、原稿確認の流れをあらためて伝えます。録音は必ず相手の許可を得てから始めてください。「記事にしてほしくない話があれば、その場でおっしゃってください」と一言添えると、相手は安心して話せるでしょう。

事実の質問から入る

本題は、担当業務や入社の時期のような事実の質問から始めます。事実を話すうちに相手の口がほぐれてきたところで、決断の理由や当時の気持ちなど、考える必要のある質問へ移るのが自然な流れです。質問リストは手元に置きつつ、相手の話がつながっている間は順番にこだわらなくて構いません。

最後に聞き漏れを拾う

終了時刻の10分ほど前になったら、質問リストを見返して聞き漏れがないかを確かめます。そのうえで「ほかに伝えておきたいことはありますか」と聞いてみてください。予定していた質問では出てこなかった話が、この一問から出てくることもあります。最後に原稿の確認時期と方法を伝えれば、取材は終了です。

インタビューの聞き方は4つある

準備と段取りが整っていても、相手の答えが短く終わってしまう場面はあります。そうしたときに役立つのが、次の4つの聞き方です。

言い換えて返す

相手は、自分の話がきちんと届いていると感じたときに、より多くを話してくれます。うなずきや「なるほど」といった相づちに加えて、「つまり、最初は社内で反対されていたということですね」のように、相手の言葉を言い換えて返してみましょう。理解のずれを確かめられるうえ、相手が言葉を補ってくれるきっかけにもなります。

5W1Hで掘り下げる

「大変でした」「やりがいがあります」のような答えは、そのままでは記事になりません。いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように、を手がかりに質問を重ねると、答えが具体的になっていきます。

最初の答え 掘り下げる質問
立ち上げのときは大変でした いちばん苦労したのは、いつ、どんな場面でしたか
チームの雰囲気がいいです そう感じたのは、誰とのどんなやり取りがあったときですか
お客様に喜ばれるのがやりがいです 印象に残っているお客様の言葉はありますか

ただし、5W1Hをすべて埋める必要はありません。記事の目的に照らして、読者が知りたい要素から優先して聞くのがコツです。

質問の形を使い分ける

「はい」「いいえ」で答えられる質問をクローズドクエスチョン、自由に答えられる質問をオープンクエスチョンと呼びます。オープンな質問は話を広げやすい一方で、「入社してどうでしたか」のように範囲が広すぎると、相手は何から話せばよいか迷ってしまうのです。答えに詰まった様子があれば、「入社前に想像していたことと比べて、違っていたことはありましたか」のように範囲を絞って聞き直してみてください。

沈黙を待つ

質問のあとに相手が黙り込むと、聞き手は焦って次の質問を重ねたくなります。けれども、その沈黙は相手が答えを探している時間であることが多いと感じています。数秒待つだけで、考え抜かれた言葉が出てくることもあるでしょう。

インタビューの質問は仮説で作る

インタビューに慣れないうちは、用意した質問を順番に読み上げることに意識が向きがちです。けれども、質問を消化するだけの取材では、事前に調べればわかる答えしか集まりません。

ここで発想を切り替えましょう。質問リストは「聞くことの一覧」ではなく、「この人はこういう考えで動いてきたのではないか」という仮説の一覧として作るのです。

記事の中心になりやすいのは、その仮説が外れた瞬間に出てくる話です。

たとえば、「事業が伸びている時期だったから、この会社を選んだのではないか」という仮説を立てて取材に臨んだとします。ところが相手が「実は、最初は別の会社に内定していた」と話し始めたら、予定の質問をいったん脇に置き、なぜ考えが変わったのかを掘り下げるべきでしょう。仮説とのずれには、その人にしか語れない判断の理由が隠れているからです。

観点 質問を読み上げる取材 仮説を確かめる取材
質問リストの位置づけ 当日の台本 事前に立てた予想の一覧
予想と違う答えが出たとき 次の質問に進む 予定を止めて理由を聞く
集まる話 誰に聞いても似た答え その人にしか語れない経緯

社史や採用記事のように、ひとりの人の判断や歩みを書く記事ほど、この差は原稿にはっきり表れると見ています。

では、仮説はどう立てればよいのか。手がかりになるのは、準備の段階で集めた事実です。経歴や会社の沿革を時系列に並べ、節目ごとに「なぜこの時期にこう動いたのか」を自分なりに予想しておくと、当日は答えを聞くだけでなく、予想との違いに気づけるようになります。

仮説が外れることを恐れる必要はありません。外れたと気づけた時点で、その人にしか語れない経緯を聞く入口に立っています。

インタビューの失敗を避ける

聞き方のコツと同じくらい大切なのが、やってはいけないことを知っておくことです。初めてのインタビューで起こりやすい失敗には、次のようなものがあります。

  • 「やはり大変でしたよね」のように答えを先回りして聞くと、相手は「はい」と返すしかなくなります
  • 一度に2つ以上のことを聞くと、相手がどちらに答えるか迷い、片方の答えが抜け落ちがちです
  • メモに集中しすぎると、相手の表情の変化を見落とします。録音があるなら、メモは要点と次に聞きたいことだけで十分です
  • 聞き手の体験談が長くなると、そのぶん相手が話す時間が削られます
  • 予定時間を超えると相手の次の予定を圧迫するため、終了の10分前には締めに入りましょう

とりわけ見落とされがちなのが、1つ目の誘導質問です。聞き手が仮説を持っているほど、その仮説に沿った答えを相手に求めてしまうためです。仮説は質問を作るために使い、相手に答えを押しつける道具にはしないよう気をつけましょう。

インタビュー後の対応を押さえる

インタビューは、質問を終えた時点で終わりではありません。録音を止めるタイミングから原稿の確認まで、終わったあとの段取りが記事の仕上がりと相手との関係を左右します。

  1. 録音はすぐに止めず、片づけの間のやり取りも残しておきます。緊張が解けたあとに、本音に近い話が出てくることがあるためです。録音を続けていることは相手に伝え、その間の話を記事に使う場合は原稿確認で了承を得ましょう
  2. 当日中にお礼を伝えます。時間を割いてもらったことへの感謝に、印象に残った話をひとつ添えるとよいでしょう
  3. 記憶が新しいうちに要点をまとめます。文字起こしはツールを使えば手間を減らせますが、相手の表情や声の調子はメモにしか残りません
  4. 原稿を相手に確認してもらいます。確認の範囲を事実関係の修正に限るのか、表現まで含めるのかを先に伝えておくと、大幅な書き換えを防げるはずです

取材の中で「ここだけの話」として聞いた内容は、記事が面白くなる話であっても原稿に入れてはいけません。掲載してよいか迷う話は、原稿確認の際にあらためて相手に尋ねましょう。

インタビューのよくある質問に答える

所要時間の目安は何分ですか?

1時間前後が目安です。記事1本分の話を聞くにはこの程度の時間が必要で、相手の集中力も保ちやすいと感じています。撮影がある場合や複数人に話を聞く場合は、その分を上乗せして依頼の段階で伝えましょう。

オンラインでも同じやり方でよいですか?

基本は同じです。ただし、画面越しでは相づちや表情が伝わりにくいため、反応を対面より大きめに示すと相手が話しやすくなります。通信が途切れたときに備えて、会議ツールの録画機能と別の録音機器を併用すると安心でしょう。

相手が緊張していたらどうしますか?

事実の質問に戻りましょう。考えや思いを聞く質問は、答えを組み立てる負担が大きいためです。担当業務や1日の過ごし方など、迷わず答えられる質問で口がほぐれてから本題に戻ると、話が進みやすくなります。

取材を断られたらどうしますか?

条件を変えれば受けてもらえることもあります。断られる理由としては、時間が取れない、人前で話すのが苦手、掲載される内容が不安、といったものが考えられるでしょう。時間が理由なら所要時間を短くする、内容への不安なら原稿確認の範囲を広げるなど、理由に合わせて条件を見直してみてください。

まとめ|インタビューは仮説のずれを深掘りする作業

インタビューのやり方は、準備、当日の進行、聞き方、終了後の対応という流れで押さえると迷いにくくなります。そのうえで、どの段階にも通じる軸が、仮説を持って臨み、外れたところを深掘りすることです。

  • 準備では、記事の目的と読者を決め、相手を調べて仮説を立てておきます
  • 当日は、雑談、目的の確認、本題、締めの4段階で進めると時間配分が崩れにくくなります
  • 本題では、仮説と違う答えが出たところで予定を止めて深掘りしましょう
  • 終了後は、録音を止めるタイミングからお礼、原稿確認までの段取りが大切です

質問リストは台本ではなく仮説の一覧であり、予想が外れた瞬間こそ深く聞く価値があります。

字遊堂は、インタビューをもとにした記事や社史、採用コンテンツの制作を手がけてきました。質問リストを前にどこを深掘りすればよいか迷っている方や、社内に取材の経験者がいないまま経営者の言葉を記録に残す役目を任された方は、仮説づくりの段階から字遊堂にご相談ください。取材前の打ち合わせで記事の目的と読者を一緒に整理し、当日のインタビューから原稿確認のやり取りまでを引き受けます。

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