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インタビュー記事の書き方|取材準備から3形式の例文とまとめ方まで

公開日 2026年09月30日

インタビュー 記事 書き方

「インタビュー記事は、聞いた話を順番どおりに文章へ直せば書ける」。取材の録音を一度通して聞くと話の流れが頭に入るため、その流れのまま原稿にしたくなるものです。

しかし、実際に書き始めると、話題が行き来してまとまらない、読み返しても要点が見えないといった壁に当たります。字遊堂はこれまで、経営者や社員の方への取材を重ね、採用記事や社史、企業のWebコンテンツとして多くの原稿にまとめてきました。仕上がりを分けていたのは文章の巧さより、聞いた話を読者が知りたい順に組み替える判断でした。

本記事では、インタビュー記事の3つの形式と例文、取材前の準備、当日の聞き方、構成とまとめ方まで、取材記事を書き続けてきた制作会社の視点で順を追ってお伝えします。

インタビュー記事は取材相手の言葉で読者に答える

インタビュー記事とは、特定の人物に話を聞き、その発言をもとに構成した記事のことです。企業のWebサイトや採用ページ、オウンドメディアでは、社員や経営者、取引先の担当者に話を聞く形がよく使われています。会社の説明だけでは見えにくい職場の雰囲気や判断の理由が、本人の言葉を通すと具体的な場面として伝わるからです。

ここで押さえたいのは、インタビュー記事の主役は取材相手ではなく読者だという点です。相手が話したいことと、読者が知りたいことは必ずしも一致しません。「読者のどの疑問に、誰のどんな言葉で答えるのか」を先に決めておくと、取材も執筆もぶれにくくなります。

活用場面 主な取材相手 読者が知りたいこと
採用 若手社員、管理職 働き方、職場の雰囲気、入社後の成長
導入事例 顧客企業の担当者 導入前の課題、選んだ理由、導入後の変化
経営者メッセージ 代表者、役員 事業の方針、創業の経緯、今後の展望
専門家への取材 医師、士業、職人など 専門知識、判断のポイント

同じインタビュー記事でも、場面によって読者が求める答えはまるで違います。採用記事で事業戦略を長く語っても、応募を考える人の疑問には届きません。

インタビュー記事の書き方は3つの形式から選ぶ

インタビュー記事には、大きく分けてQ&A形式、モノローグ形式、ルポ形式の3つがあります。同じ取材内容でも、形式が変わると読者の受け取り方が変わります。形式ごとの特徴は次の表のとおりです。

形式 書き方 向いている記事
Q&A形式 質問と回答を交互に並べる 社員インタビュー、対談、導入事例
モノローグ形式 取材相手の一人称で語る 経営者メッセージ、体験談
ルポ形式 書き手が三人称で描写する 人物紹介、現場取材、新聞記事

ここからは、入社3年目の営業担当に仕事の手応えを聞いた場面を例に、同じ話を3つの形式で書き分けてみます。

Q&A形式は会話のテンポで人柄を伝える

Q&A形式は、聞き手の質問と取材相手の回答を交互に並べる書き方です。一問一答形式とも呼ばれ、会話の形で進むため、読者が構えずに読み進められます。

――入社して3年、仕事の手応えを感じたのはいつですか。

2年目の秋に、自分から出した企画がお客様に採用されたときです。それまでは先輩の案件を手伝うことが多かったので、自分の名前で任されたという実感がありました。

質問文は短く、回答は一つの話題に絞るのが、この形式を読みやすく保つ条件です。回答が長くなる場合は、途中に聞き手の相づちや追加の質問を挟むと、テンポを保てます。

モノローグ形式は本人の語りで想いを深く届ける

モノローグ形式は、聞き手の質問を消し、取材相手が一人で語っているように書く形式です。一人称形式とも呼ばれ、経営者の理念や転機となった経験のように、本人の考えを途切れさせずに伝えたい場面に向いています。

入社2年目の秋、初めて自分から出した企画がお客様に採用されました。それまでは先輩の案件を手伝うことが多く、正直に言えば焦りもあったのです。あの日を境に、仕事を「任されたもの」ではなく「自分でつくるもの」と考えるようになりました。

質問を消すぶん、話の順序と段落の区切りは書き手が設計しなければなりません。話題の変わり目に小見出しを入れると、長い語りでも迷わず読めます。

ルポ形式は書き手の視点で背景まで描く

ルポ形式は、書き手が第三者の視点から取材相手や現場の様子を描き、発言を「」で引用しながら進める書き方です。三人称形式とも呼ばれ、新聞や雑誌の人物記事でよく使われています。

入社3年目の営業担当は、仕事の転機に2年目の秋を挙げました。初めて自分から出した企画が、取引先に採用されたのです。「自分の名前で任された実感がありました」と振り返る口調には、当時の手応えがにじんでいました。

書き手が情景や背景を補えるため、取材相手が多くを語らなかった部分も読者に伝えられます。その反面、書き手の解釈が強く出やすいので、発言の引用と書き手の描写の線引きは意識しておきましょう。

インタビュー記事は取材前の準備で書きやすさが決まる

原稿がまとまらない原因は、書く段階より前の取材準備にあることが多いと見ています。何を聞くかが曖昧なまま取材に臨むと、話は盛り上がったのに記事に使える発言が足りない、という事態になりがちです。

目的と想定読者を一文で決める

最初に決めるのは、「誰に、何を伝え、読んだあとにどう動いてほしいか」です。採用記事なら「営業職への応募を迷っている人に、入社後の成長の道筋を伝え、説明会への申し込みにつなげる」くらいの具体性で一文にまとめます。目的の一文があると、取材で深掘りすべき話題と、流してよい話題の区別がつきます。文字数や掲載先、写真の有無もこの段階で決めておくと、あとの工程で迷いません。

相手を調べて質問リストを作る

取材相手の経歴や過去の発言、所属する組織の事業内容は、事前にできる限り調べておきましょう。調べればわかることを当日に聞くと、限られた時間を基本情報の確認に使ってしまいます。

質問リストは、目的の一文から逆算して作ります。順番は、今の仕事から入り、過去の経緯をたどり、今後の展望で締める流れにすると、相手も記憶をたどりやすいはずです。

段階 質問の例
現在 今はどのような仕事を担当していますか
過去 この仕事を選んだきっかけは何でしたか
過去 いちばん苦労した時期と、乗り越えた方法を教えてください
未来 これから挑戦したいことは何ですか

質問は多めに用意しても、当日すべてを聞く必要はありません。優先順位を付けて話の流れに応じて入れ替える余裕を持たせておくと、会話が質問票の読み上げで終わらずに済みます。

取材依頼の段階で確認事項をそろえる

取材を依頼する時点で、記事の目的と掲載先、所要時間、録音の可否、写真撮影の有無、公開前の原稿確認の範囲を相手と共有しておきます。とりわけ見落とされがちなのが、原稿確認の範囲です。事実関係の確認だけなのか、表現まで直してもらうのかを決めずに進めると、公開直前に大幅な修正が入り、予定が崩れる原因になります。

取材当日は記事になる場面を意識して聞く

取材の場では、相手の話にうなずくだけでなく、「この発言は記事のどこに入るか」を頭の片隅で考えながら聞くと、文字起こしから使う発言を選ぶ作業が短く済みます。

録音と冒頭の雑談で話しやすい場をつくる

録音は必ず相手の了承を得てから行い、機材の不調に備えて予備の録音手段も用意しておきましょう。オンライン取材なら、会議ツールの録画機能を使う方法もあります。冒頭の数分は本題に入らず、相手の近況や取材場所の話題で緊張をほぐします。本音に近い言葉は、話しやすい空気ができてから出てくることが多いはずです。

5W1Hと「なぜ」で具体的な場面を引き出す

「やりがいはありますか」のような質問には、「はい、あります」という短い答えしか返ってきません。答えを具体的にするには、出来事を一つずつ確かめていく5W1Hの考え方が役立ちます。5W1Hとは、いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように、の6つの要素で出来事を確かめる枠組みのことです。

中でも記事の厚みを左右するのは「なぜ」です。「そのとき、なぜその判断をしたのですか」と一段深く聞くと、事実の裏にある考え方が出てきます。

最初の答え 深掘りの質問
大変でした いちばん大変だったのは、どの場面ですか
お客様に喜ばれました 具体的にどんな言葉をもらいましたか
自分なりに工夫しました 以前のやり方と何を変えたのですか

最初の答えに含まれた言葉をそのまま拾って聞き返すと、相手も具体的な場面を思い出しやすくなります。読者の記憶に残るのは、多くの場合こうした場面の描写でしょう。

本筋から逸れた話にも記事の種がある

取材の目的から外れた雑談の中に、その人らしさが表れる場面は珍しくありません。休日の過ごし方や学生時代の話が、仕事への向き合い方を説明する材料になることもあります。時間に余裕があれば、話が逸れても少しだけ付き合い、終盤で本題に戻すくらいの構えで臨みましょう。

インタビュー記事は読者が知りたい順に組み立てる

ここが本記事でいちばん伝えたい要点です。

取材では、相手の記憶や話の勢いに沿って話題が進みます。ところが、読者が知りたい順番は、その流れと一致しないことが多いのです。インタビュー記事は、話した順ではなく、読者が知りたい順に組み替えて初めて、読者が自分の疑問への答えを順に拾える記事になります。

半生をたどる記事のように、時系列そのものが読者の知りたい順になる場合は、話した順のままでもかまいません。

文字起こしから使う発言を選ぶ

取材が終わったら、録音をもとに文字起こしを作ります。今は音声を自動で文字にするツールも多く、全文を書き起こす手間は以前より小さくなりました。肝心なのはその先で、文字起こしを読みながら、目的の一文に照らして使う発言に印を付けていきます。

1時間の取材でも、記事に使う発言は一部にとどまると考えておくくらいでちょうどよいはずです。使わない発言を決める作業は、書く作業と同じくらい記事の仕上がりを左右します。

構成を決めて見出しに発言の要点を置く

使う発言が決まったら、読者の疑問の順に並べ替えて構成を組みます。基本の型は次のとおりです。

要素 役割
タイトル 記事の主題と、取材相手ならではの一言を示す
リード文 取材相手の紹介と、記事の読みどころを伝える
本文 見出しごとに一つの話題を扱い、発言で裏付ける
まとめ 読者に持ち帰ってほしい要点を示す

見出しには「入社のきっかけ」のような話題名ではなく、「営業の面白さは断られたあとに見えてきた」のように、その章で相手が語った要点を置きます。そうすれば、見出しを拾い読みするだけで記事の骨格が伝わります。話題名だけの見出しが並ぶ記事は、どの会社の社員インタビューでも同じ目次になってしまうのです。見出しにこそ、その人でなければ出てこない言葉を使いましょう。

書き出しで人物と読みどころを示す

書き出し(リード文)の役割は、取材相手が誰で、この記事で何が読めるのかを最初の数行で伝えることです。肩書きや経歴を並べるだけでは読み進める理由にならないため、本文でもっとも印象に残った発言や出来事を一つ先に見せます。

「断られてからが営業の始まりだと思っています」。入社3年目の営業担当は、そう言って笑顔を見せました。新人時代に大口の商談を逃した経験が、今の提案スタイルの原点になったといいます。本記事では、失敗から学んだ営業の考え方と、若手が任される職場の実際を聞きました。

リード文で名前や立場を示しておけば、本文では話の中身に集中して読んでもらえます。

話し言葉を読める文章に整える

話し言葉をそのまま文字にすると、「えー」「なんていうか」といった言いよどみや、主語と述語のねじれが残ります。こうした部分は削り、語順を整え、省略された主語を補って、読み手が一度で理解できる文に直します。ただし、相手の口ぐせや言い回しのうち人柄が伝わるものは、残したほうがその人らしさが記事に出るはずです。専門用語が出てきたら、発言の中で言い換えるか、地の文で補足を添えます。

まとめで読者に持ち帰ってほしい一点を示す

インタビュー記事のまとめ方に迷ったら、取材全体を要約しようとせず、読者に持ち帰ってほしい一点に絞るのが近道です。最後の発言を印象的な一言で締める方法もあれば、書き手が取材を通じて感じたことを短く添える方法もあります。記事の目的が採用なら、説明会や募集要項への案内をまとめの直後に置き、読者が次に取る行動までつなげておきましょう。

発言に手を入れる範囲を先に線引きする

インタビュー記事の書き方を扱う解説では、発言をどこまで書き換えてよいかという線引きがあまり語られません。話し言葉を整える以上、発言にまったく手を入れない記事はありません。一方で、直しすぎると取材相手が「こんなことは言っていない」と感じ、公開前の確認で大きく書き戻されることになります。

取材記事を書いてきた立場から本音を言えば、判断の基準は一つです。発言の意味を変えない直しは書き手の判断で進め、意味が変わる直しは本人の確認を取るべきです。

書き手の判断で整えてよいもの 本人の確認を取るべきもの
言いよどみや言い直しの削除 発言にない主張や言葉の追加
省略された主語や目的語の補い 数字や固有名詞の変更
同じ話題の中での文の順序の入れ替え 別々の話題で語られた発言のつなぎ合わせ
語尾や表記の統一 「〜かもしれない」を「〜だ」にするような、断定の強さを変える直し

右の列に当たる直しが必要になったら、原稿を送る前に「この部分はこう補いましたが、趣旨は合っていますか」と個別に確かめておきます。原稿確認の段階で相手が戸惑うのは、どこを直したのかが見えないときだと見ています。補った箇所を先に伝えておけば、確認は趣旨の確認に集中し、表現の細部まで全面的に書き戻される事態を防ぎやすくなるはずです。

確認を依頼するときは、「事実関係の誤りと、公開に差し支える表現の修正をお願いします」のように、見てほしい範囲を言葉で示しておくのも一つの方法です。範囲を示さずに原稿を渡すと、相手は善意から文章全体を書き直し、口ぐせや具体的なエピソードが削られた説明文のような原稿が戻ってくることがあります。

また、インタビュー記事の著作権は、質問の内容や制作の過程によって取材相手と共有になる場合があります。採用サイトへの転用など記事の二次利用を考えているなら、その範囲も取材依頼の段階で取り決めておきましょう。

インタビュー記事でよくある失敗は3つある

形式や手順を押さえていても、仕上がりでつまずく原稿には共通点があります。代表的な3つと、その対策を順に見ていきましょう。

文字起こしをそのまま並べてしまう

録音を忠実に再現した原稿は、発言の記録としては正確でも、記事としては読みにくくなります。話し言葉には繰り返しや脇道が多く、要点が埋もれてしまうからです。

整える前:えっと、そうですね、入社したときは、まあ正直、営業って大変そうだなと思ってて、でも、実際やってみると、なんていうか、断られるのは、まあ当たり前で。

整えた後:入社した頃は、営業は大変な仕事だと思っていました。実際にやってみると、断られるのは当たり前なんです。

前章の線引きに沿って、意味を変えずに言いよどみと繰り返しを削るだけでも、同じ内容を半分ほどの長さで伝えられます。

聞き手の存在感が強すぎる

Q&A形式では、質問文が長くなったり、聞き手の感想が何度も入ったりすると、読者の関心が取材相手から離れてしまいます。質問は1文から2文に収め、聞き手の意見は話を次に進めるための最小限にとどめましょう。反対に、聞き手の質問をまったく入れないと、話題の切り替わりが唐突に見えることもあります。

原稿確認を後回しにして公開が止まる

取材相手の確認を公開直前に回すと、修正のやり取りが長引き、予定していた公開日に間に合わなくなることがあります。所属先の広報部門や上長の承認が必要なケースでは、確認にかかる日数も読みにくくなるでしょう。取材依頼の段階で確認の期限と範囲を決めておくことが、いちばん確実な予防策です。

インタビュー記事の書き方で迷いやすい疑問に答える

最後に、インタビュー記事を初めて書く人がつまずきやすい疑問に、短く答えます。

インタビュー記事の文字数はどのくらいが適切ですか?

掲載先と目的によって変わります。Webのインタビュー記事なら2000字から5000字ほどが目安で、社員インタビューは短め、導入事例や経営者インタビューは長めになる傾向があります。経営者の半生をたどる記事や対談のように、語りの厚みそのものが読みどころになる記事では、それ以上の分量になれば前編と後編に分けて公開する方法もあるでしょう。字数から決めるより、目的の一文に答えるのに必要な発言がそろっているかで判断しましょう。

取材相手の呼び方はどう書けばよいですか?

「さん」付けが一般的です。社外の方や役職の高い方を取り上げる記事では「氏」を使う媒体もあり、どちらを使うかは媒体内で統一しておくことが欠かせません。

呼び方 使われる場面
〇〇さん 社員インタビュー、採用記事、親しみを出したい記事
〇〇氏 経営者や専門家への取材、ビジネス色の強い記事
肩書き付き 社長や部長などの役職を明示したい記事

初出で「営業部の〇〇さん」のように所属と名前を示し、2回目以降は名前だけにすると、同じ説明の繰り返しを避けられます。

記事タイトルにインタビューと入れるべきですか?

入れなくても問題ありません。読者が関心を持つのは「インタビューであること」より、その人が何を語ったかです。取材相手の印象的な発言や、記事で得られる気づきをタイトルに置いたほうが、クリックする理由が伝わりやすいでしょう。ただし、社員インタビューを一覧で見せるページなど、形式を示したほうが探しやすい場合は例外です。

まとめ|インタビュー記事は読者が知りたい順に組み替えて書く

インタビュー記事の書き方は、形式の選び方、取材前の準備、当日の聞き方、執筆と編集の4つの工程に分けて考えると整理しやすくなります。どの工程でも、判断の軸になるのは「読者が知りたい順番」です。聞いた話を読者の疑問の順に組み替え、発言の意味を変えない範囲で整えることが、読まれるインタビュー記事への近道です。

工程 押さえること
形式を選ぶ Q&A、モノローグ、ルポから目的に合うものを選ぶ
取材前 目的の一文、質問リスト、原稿確認の範囲を決める
取材当日 5W1Hと「なぜ」で具体的な場面を聞く
執筆と編集 使う発言を選び、読者が知りたい順に並べ替える

字遊堂はこれまで、経営者や社員の方への取材をもとに、採用記事や社史、企業のWebコンテンツを制作してきました。取材の日程は組めても、録音を読者の知りたい順の原稿へ組み替える時間が社内で取れないときは、その工程から字遊堂にお任せください。質問の設計や原稿確認の進め方も含めて、目的の一文を決めるところからご相談いただけます。

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