公開日 2026年09月28日
「AIに書かせた記事は、Googleに見抜かれて順位が落ちるのでは」。ChatGPTが広まった当初、AIで作った記事はペナルティの対象になるという見方がセミナーやSNSで盛んに語られたため、今もAIの利用に慎重な担当者は多いはずです。
しかし、気にすべきはAIを使うかどうかではなく、人が確認すべき工程を抜いていないかです。字遊堂はSEO記事の制作を数多く手がけてきましたが、AIを使った記事のつまずきは、AIが書いた文章そのものより、事実確認や独自情報の追加を省いた箇所で起きていると見ています。
本記事では、Googleの評価の考え方から、具体的な注意点、制作の手順までを、記事制作の現場の視点で順を追ってお伝えします。
AIを使ったSEO記事もGoogleは評価する
AIの注意点に入る前に、Googleが何を評価しているのかを確認しておきましょう。前提を取り違えると、避ける必要のない使い方まで避けることになりかねません。
Googleは記事の品質で評価する
Googleは2023年2月に公開したAI生成コンテンツに関するGoogle検索のガイダンスで、コンテンツがどう作られたかではなく、その品質を重視する姿勢を示しています。評価の軸は、経験・専門性・権威性・信頼性を指すE‐E‐A‐Tを満たした、オリジナルで質の高いコンテンツかどうかです。
つまり、人が書いた記事でも中身が薄ければ評価されず、AIを使った記事でも読者の役に立てば評価の対象になります。AIを使ったかどうかは、順位を左右する要素ではありません。
大量生成はスパムになる
一方で、使い方によってはポリシー違反になります。Googleが公開しているGoogle検索の生成AI機能向けにウェブサイトを最適化するためのガイドにも、検索順位やAIの回答を操作することを主な目的として大量のページを作ると、大量生成されたコンテンツの不正使用に関するスパムポリシーに違反すると明記されています。
問題にされるのはAIという道具ではなく、検索順位を上げることだけを目的にした量産です。両者の違いは次の表のとおりです。
| ポリシー上問題になりにくい使い方 | スパムとみなされうる使い方 |
|---|---|
| 構成案や下書きの作成にAIを使い、人が検証して仕上げる | 検索ボリュームのあるキーワードを並べ、AIの出力をそのまま大量に公開する |
| 自社の知見や取材内容をもとに、AIで文章を整える | 他サイトの記事をAIで言い換え、独自の情報を足さずに公開する |
| 読者の疑問に答えるために、AIで情報を整理する | 読者の役に立つかを確かめず、ページ数を増やすこと自体を目的にする |
線を引くのは、公開前に人が事実と付加価値を確かめているかどうかだと言えるでしょう。
SEOでAIを使うメリットは下書きの時短にある
注意点を理解するには、AIが何を得意とするのかを知っておくことも欠かせません。SEO記事の制作でAIが力を発揮するのは、主に次のような「ゼロから形を作る」作業です。
- キーワードから読者の疑問を洗い出し、検索意図の候補を挙げる
- 上位記事の見出しを踏まえ、構成案の叩き台を作る
- 決まった構成に沿って、本文の下書きを書き起こす
- 既存の記事を読み込ませ、リライトの候補箇所を挙げる
白紙から書き始めるより、叩き台に手を入れるほうが早く進むことは、記事を書いた経験がある人なら実感があるでしょう。
ただし、縮められるのは下書きまでの時間です。事実確認や独自情報の追加にかかる時間は、AIを使っても減りません。ここを見誤ると、次に挙げる注意点がそのまま表に出てしまいます。
SEOでAIを使う注意点は6つある
AIを使った記事で起きる問題は、大きく6つに分けられます。どれもAIの性質から来るもので、ツールを変えても完全になくなるわけではありません。
事実と異なる内容を書く
AIは、存在しない制度や誤った数値を、正しい情報と同じ自然な文体で書くことがあります。この現象はハルシネーションと呼ばれ、読み手が専門家でなければ誤りに気づきにくいのが厄介な点です。
情報の古さにも注意が必要です。Web検索を使わないAIは学習した時期より後の情報を反映できず、検索機能を使った場合でも、古いページや誤ったページを参照することがあります。法改正や料金改定、ツールの仕様変更などは、とくに確認を怠れない情報でしょう。AIの出力に含まれる固有名詞・数値・日付は、すべて一次情報で裏を取る前提で扱いましょう。
独自性が出にくい
AIは、すでに出回っている情報をもとに文章を組み立てます。そのため、上位記事の見出しを参考に書かせると、どの記事にも書いてある内容を言い換えただけの原稿になりがちです。
検索結果に似た記事が並んでいる状態で、同じ内容の記事を1本増やしても、読者がその記事を選ぶ理由は生まれません。Googleが評価の軸にオリジナリティを掲げている以上、平均点の記事は上位に入りにくいと見ています。
一次情報や経験を書けない
E‐E‐A‐Tのうち、AIがもっとも苦手とするのが経験です。実際に商品を使った感想、現場で起きたトラブル、顧客から寄せられた質問といった情報は、AIの手元にはありません。
AIに「体験談風に書いて」と指示すれば、それらしい文章は出てきます。しかし、中身は架空の体験であり、読者をあざむく記事になってしまいます。経験の部分は、人が素材を用意するしかありません。
既存の文章と似てしまう
AIの出力が、既存の記事と部分的に似た表現になることもあります。意図せず他者の文章に近づいた場合でも、公開すれば責任を負うのは掲載した側です。
特定の記事を読み込ませて「書き直して」と指示する使い方には、とりわけ注意が必要でしょう。公開前に、言い回しの重なりは類似文章のチェックツールで確かめ、論の運び方が似ていないかは元の記事と読み比べて人が確認しましょう。
大量公開はスパムになりうる
AIを使えば記事の本数は簡単に増やせます。しかし、先に触れたとおり、読者への価値を加えないまま量産すると、大量生成されたコンテンツの不正使用に該当するおそれがあります。
注意したいのは、スパムかどうかが1本ずつの品質だけでなく、サイト全体での作り方でも見られる点です。人の目が行き届かない本数を一度に公開すれば、確認の甘い記事が混ざる確率はそれだけ上がります。公開の本数は、社内で検証できる量を上限に決めるのが現実的です。
入力した情報が外部に渡る
見落とされやすいのが、AIに入力する側の注意点です。顧客名や未公開の数値、取材先から預かった資料をそのまま入力すると、サービスによっては学習に使われたり、事業者のサーバーに保存されたりする可能性があります。
利用するツールの規約で、入力データの扱いと学習への利用の有無を確認しておきましょう。会社として使うなら、何を入力してよいかの基準を先に決めておくと、担当者ごとの判断のばらつきを防げます。
6つの注意点を、公開前に確かめる項目として並べると次のとおりです。
- 固有名詞・数値・日付を一次情報で確認したか
- 上位記事にない独自の情報や視点が入っているか
- 経験に基づく情報を、人が用意した素材から書いているか
- 既存の文章と似た表現がないか、ツールで確かめたか
- 社内で検証できる本数に公開量を抑えているか
- 入力してはいけない情報をAIに渡していないか
AIでSEO記事を作る手順は5つある
ここまでの注意点を、実際の制作の流れに落とし込みます。AIに任せてよい部分と人が担う部分を工程ごとに分けると、次のように整理できます。
| 工程 | AIに任せてよい部分 | 人が担う部分 |
|---|---|---|
| 1.検索意図の整理 | 読者の疑問の洗い出し | 想定読者と記事の目的の決定 |
| 2.構成案の作成 | 見出しの叩き台 | 独自の章の追加と並び順の判断 |
| 3.本文の下書き | 構成に沿った文章の書き起こし | 素材の用意と指示の設計 |
| 4.検証と加筆 | 誤字や表記ゆれの洗い出し | 事実確認と一次情報の追加 |
| 5.公開後の改善 | データの読み取りの補助 | 改善方針の判断 |
表の右側の列を省けば、前章の注意点はそのまま記事に表れるのです。
検索意図を整理する
最初に決めるのは、誰のどんな疑問に答える記事なのかという点です。AIにキーワードを渡せば、読者が抱きそうな疑問は短時間で並びます。そのなかから、自社が答えるべき読者を選ぶのは人の仕事です。
構成案は人が組み直す
AIが出す構成案は、上位記事の見出しを平均化したものになりがちです。そのまま使うと、先に挙げた独自性の問題が構成の段階で確定してしまいます。叩き台を受け取ったら、自社だからこそ書ける章を1つ以上足し、読者が次に知りたくなる順に並べ替えましょう。
素材を渡して下書きさせる
下書きの質は、AIに渡す素材と指示でほぼ決まります。取材メモや社内資料、想定読者、文体のルールを具体的に伝えるほど、手直しの量は減るはずです。
事実確認と加筆を人が行う
もっとも時間をかけるべき工程です。固有名詞や数値は公的機関や公式サイトなどの一次情報で確かめ、出典の分からない記述は削るか書き直します。そのうえで、下書きの段階で入れられなかった経験や事例を、人の手で書き足しましょう。
公開後に順位を見て直す
公開して終わりにせず、Search Consoleで検索順位やクリック率を定期的に確認します。Google検索の生成AI機能での表示状況も、Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートで確かめられます。狙ったキーワードで評価されていなければ、検索意図とのずれを疑い、構成から見直すのが近道です。
独自性は書く前の素材で決まる
ここで本音を言えば、AI記事の独自性を「最後の編集で足す」と考えているうちは、なかなか上位に届かないと感じています。
AIの下書きは文法が整い、論理のつながりも一見なめらかです。そこへ後から体験談や事例を差し込もうとしても、論旨はAIが組み立てた平均的な内容のままで、差し込んだ部分だけが浮いてしまいます。
とりわけ見落とされがちなのが、整った文章ほど誤りが読み流されるという点です。人が書いた粗い原稿なら引っかかる箇所も、AIのなめらかな文章では違和感なく通過してしまいます。確認の工程で気を抜けば、誤りはそのまま公開されるでしょう。
**独自性は、AIに書かせる前にどんな素材を渡すかで決まります。**正確さを担保する事実確認の工程と並んで、素材集めは人が手を抜けない部分です。素材の例としては、次のようなものが挙げられます。
- 担当者や専門家への取材メモ
- 顧客から実際に寄せられた質問と、その回答
- 自社で扱った案件の記録や社内資料
- 現場で起きた失敗と、そこから変えたやり方
これらを先に集め、AIには素材を構成に沿って文章にする役割だけを与えるのが、遠回りに見えて確実な進め方です。一次情報の大切さはよく語られますが、それを先に集めるか後から足すかという順序まで踏み込んだ解説は多くありません。AI活用の成否を分けているのは、この準備の差だと見ています。
素材が薄いまま書かせて平凡な記事になったとしても、それはAIのせいにはできません。
AI検索でもSEOの基本は変わらない
Google検索の結果上部に表示されるAIによる概要やAIモード、ChatGPTなどの対話型AIで調べものをする人が増え、AIに引用されることを狙う対策も注目されています。AIO対策やLLMO対策と呼ばれる考え方です。
ただ、Google自身は生成AI機能向けの最適化ガイドで、生成AI検索向けの最適化もSEOであることに変わりはないとしています。AI向けの特別なファイルやマークアップを新たに用意する必要もないというのが、Googleの見解です。同じガイドで重視されている条件を整理すると、ここまでの注意点とほぼ重なります。
| Googleが重視する記事の条件 | 対応する注意点 |
|---|---|
| 信頼でき、事実の誤りがない | 事実と異なる内容を書く |
| ほかの記事にない独自の視点を含む | 独自性が出にくい |
| 書き手の経験や専門知識に基づいている | 一次情報や経験を書けない |
つまり、AIで作った平凡な記事は、検索結果でもAIの回答でも選ばれにくいと言えるでしょう。AIに引用される前提は、まず人に選ばれる記事であることです。
SEOとAIの注意点についての質問
AIを記事制作に取り入れる際に、担当者が迷いやすい点を質問の形でまとめました。
AIで書いた記事は順位が下がりますか?
下がりません。Googleは制作方法ではなく品質で評価するとしており、AIを使ったこと自体が順位を下げる理由にはなりません。順位が伸びない場合は、AIかどうかより、内容の薄さや誤りを疑うほうが改善につながります。
AIを使ったことを記事に明記する必要はありますか?
義務はありません。ただし、Googleは読者が「どうやって作られたのか」と疑問を持ちそうな記事では、制作方法の説明を添えることを勧めています。記事の性質に応じて判断しましょう。
医療やお金に関わるテーマでもAIを使えますか?
使えます。ただ、健康や資産に影響するテーマは、誤りが読者に与える損害が大きく、Googleの評価でも特に高い信頼性が求められる領域です。公開前に確認したい点は次の3つです。
- 数値や制度の記述を、公的機関や専門家の情報で確かめる
- 専門家による監修や確認の体制を整える
- 断定を避けるべき箇所で、言い切りになっていないかを見直す
無料のAIツールでも問題ありませんか?
問題ありません。記事の品質を左右するのは、ツールの価格より、渡す素材と人による検証の工程です。ただし、個人向けプランでは有料・無料を問わず、入力データが学習に使われる設定が既定になっている場合があります。社外秘の情報を扱うなら、学習への利用をオフにするか、法人向けプランを選びましょう。
まとめ|AI記事の成否は人の確認で決まる
SEOでAIを使うこと自体は、Googleの評価を下げる理由になりません。注意すべきは、誤った情報、独自性の不足、経験の欠如、表現の類似、量産によるスパム判定、そして情報漏えいの6つです。どれも、人が確認の工程を省いたときに表に出ます。
- AIに任せるのは下書きまでと決め、事実確認と一次情報の追加は人が担う
- 独自性は仕上げで足さず、書く前に取材や社内資料で素材を集める
- 公開する本数は、社内で検証できる量を上限にする
字遊堂は、これまで多くの企業のSEO記事や、取材に基づく記事を手がけてきました。社内に素材はあるのに記事にする時間が取れない、AIで下書きまでは作れても独自性の出し方が分からない、という場合は、取材による一次情報の掘り起こしから字遊堂にお任せください。AIでは埋められない「経験」の部分を、取材と編集で記事に組み込みます。

