公開日 2026年09月24日
「AIで記事を書くようになってから、SEOの効果がない気がする」。ツールの宣伝文句にある、記事を量産すれば流入が増えるという言葉を信じて本数を増やしたのに、順位も問い合わせも動かないという状況から出てくる声です。AI検索の広がりを受けて、SEOそのものが終わったと感じている方もいるでしょう。
しかし、取材やインタビューをもとにSEO記事を作り続けてきた字遊堂の立場から言えるのは、効果が出ない原因はAIそのものより、AIに何を任せ、人が何を足したかという工程の分け方にある、ということです。さらに言えば、AIで量産するほどGoogleにも生成AIにも選ばれにくくなる、という逆説があると見ています。
本記事では、Googleの見解から効果が出ない原因、AI検索時代のSEOの位置づけ、AIと人の役割分担まで、記事制作の現場にいる立場で順を追ってお伝えします。
AIで書いた記事でもSEOの効果がなくなるわけではない
AIで作った記事は検索で不利になる、という話を耳にした方も多いはずです。結論から言えば、AIを使ったこと自体を理由に順位が下がるわけではありません。問題になるのは、記事が読者の役に立つかどうかです。
Googleは作り方より読者の役に立つかを見ている
Googleは2023年2月、AIで生成したコンテンツの扱いについて公式ブログで見解を示しました。制作方法を問わず、オリジナルで質の高いコンテンツを評価するという方針は、Google検索セントラルのブログにも明記されています。人が書いたかAIが書いたかは、評価の軸に入っていないのです。
つまり、AIで作った記事が伸びないという現象自体は事実でも、その原因をAIに求めるのは的外れです。原因は、AIで書いた記事にありがちな中身の薄さにあると捉えましょう。
順位を操作する目的で量産すると評価を落とす
一方で、Googleがはっきり問題視している使い方もあります。生成AIを使い、読者への付加価値がないページを大量に作ることです。このような大量生成は、スパムポリシーに違反するおそれがあると、Googleの生成AIコンテンツに関するガイダンスにも示されています。2026年に公開された生成AI機能向けの公式ガイドでも、ページ数を増やすだけではサイトの品質は上がらないと改めて明記されました。
| 評価に影響しない使い方 | 評価を落とすおそれがある使い方 |
|---|---|
| 調査や構成案づくりの補助に使う | 下書きをそのまま大量に公開する |
| 下書きに体験や取材内容を加えて仕上げる | 上位記事の内容を言い換えただけで公開する |
| 数字や固有名詞を確かめてから公開する | AIが出した情報を確かめずに公開する |
境界線はAIを使ったかどうかではなく、人の手で価値を足したかどうかにあるのです。
SEOにAIを使っても効果が出ない原因は3つの層に分かれる
AIを使った記事の順位が伸びないとき、原因を「AIの文章が下手だから」の一言で片づけると、打つ手を誤ります。記事制作の流れに沿って見ると、つまずきは設計・中身・検証の3つの層のどこかで起きているはずです。層ごとに直し方が違うため、まずどこで崩れているかを切り分けましょう。
- キーワードだけを渡して、構成も本文もAIに作らせている
- 公開した記事に、自社の事例や判断の基準が一つも入っていない
- AIが出した固有名詞や数値を、原典で確かめていない
1つ目に当てはまれば設計、2つ目なら中身、3つ目なら検証の層に原因がある可能性が高いと見ています。
設計の層では検索意図を読み違えている
AIにキーワードだけを渡すと、そのキーワードで一般的に書かれそうな内容が返ってきます。ところが、同じキーワードでも検索する人の立場はさまざまです。たとえば「記事 外注 費用」で検索するのが初めて外注を検討する担当者なのか、今の外注先から乗り換えたい担当者なのかで、答えるべき内容は変わるのです。
構成の段階で読み違えると、本文をいくら整えても上位には届きにくくなります。設計の崩れは、執筆の工夫では取り返せません。
中身の層では上位記事の要約で終わっている
生成AIは、Web上にすでにある情報をもとに文章を組み立てます。そのため、指示を工夫しないまま使うと、上位記事と似た論点が似た順番で並んだ原稿になりやすいのです。検索する人から見れば、すでに読んだ記事と同じ話がもう一度出てくるだけで、この記事を選ぶ理由が見当たりません。
ここで見落とされがちなのが、網羅していることと読む理由があることは別物だという点です。自社の事例、担当者の判断の基準、現場で実際に起きた失敗など、その会社にしか書けない情報が一つも入っていなければ、網羅性が高くても評価は伸びにくいと見ています。
検証の層では事実確認を省いたまま公開している
生成AIは、もっともらしい誤りを混ぜることがあります。存在しない調査結果、古くなった制度の説明、実在しないサービス名などが、自然な文章の中に紛れ込むのです。誤りを含んだ記事は、読者の信頼を損ねるだけでなく、サイト全体の評価にも響くおそれがあります。
だからこそ、数字や固有名詞、制度に関する記述は、公開前に一次情報で裏を取る工程を必ず挟みましょう。
効果が出ない理由を、AIのせいだけにはできません。
AI検索が広がってもSEOの効果は失われていない
「ChatGPTやGoogleの『AIによる概要』で答えが出るなら、もう記事は読まれないのでは」。こうした声から、SEO自体が効果のない時代になったと考える方もいます。確かに、検索結果の画面だけで疑問が片づき、サイトがクリックされない検索は増えているでしょう。ただ、それはSEOが不要になったことを意味しません。
Googleの生成AI機能は検索で評価されたページを材料にしている
Googleの「AIによる概要」や「AIモード」は、ゼロから知識を生み出しているわけではありません。検索インデックスから関連性の高いページを取り出し、その内容をもとに回答を組み立てています。回答の中や周囲に参照元のリンクが表示されるのも、Webページを材料にしているからです。ChatGPTなどの対話型AIは、学習したデータとWeb検索を組み合わせて回答するため、仕組みは少し異なります。
裏を返せば、検索エンジンに正しく読み取られ、信頼できると判断されたページほど、AIの回答にも取り上げられやすいと考えられます。生成AIに引用されやすくするための対策はLLMOやGEOと呼ばれ、新しい手法のように語られがちです。ただ、Google自身は、生成AI検索向けの最適化もSEOの範囲に含まれるという立場を公式ガイドで示しています。読者が答えを見つけやすいよう結論を先に書く、一次情報を載せる、書き手を明らかにするといった取り組みも、SEOで求められてきたものと同じです。
| 観点 | 従来のSEO | AI検索への対策 |
|---|---|---|
| 目指す場所 | 検索結果の上位 | AIの回答の中での引用 |
| 評価される中身 | 検索意図への答えと一次情報 | 左と同じ |
| 成果の見え方 | 順位と訪問数 | 生成AI機能での表示回数や社名での検索 |
並べてみると、違うのは成果の見え方で、評価される中身はSEOとほぼ同じだとわかります。
クリックが減っても社名を知ってもらう入口は残る
AIの回答で疑問が片づけば、サイトへの訪問は減るかもしれません。それでも、回答の中で社名やサービス名が引用されれば、読者はその会社を知ることになるはずです。後日、比較検討の段階で社名を検索し直すという流れは、BtoBの発注では珍しくないと感じています。
効果を測る物差しを、訪問数だけでなく社名での検索数や問い合わせの中身まで広げると、SEOの成果は違って見えてくるでしょう。Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートを使えば、Googleの生成AI機能でどれだけ表示されたかも確認できます。
SEOにAIを使うメリットと見落としやすいデメリットを押さえる
AIは効果がないと決めつけて使わずにいるのも、もったいない選択です。制作の工程を分けて見れば、AIに任せることで速く、しかも質を落とさずに済む作業は確かにあります。
| 観点 | メリット | 見落としやすいデメリット |
|---|---|---|
| 時間 | 下調べや構成案の叩き台を短時間で作れる | 確認と修正の時間を見込まないと、かえって手戻りが増える |
| 運用 | 既存記事の更新や情報の抜けの補完を回しやすい | 似た記事を増やす方向に使うと、同じサイトの記事どうしで評価を奪い合う |
| 品質 | 文章の抜けや表記の揺れを点検できる | 誤りを含んだまま、読みやすい文章に整ってしまう |
とりわけ見落とされがちなのが、3つ目のデメリットです。文章が滑らかに整うほど、読み手も書き手も誤りに気づきにくくなります。AIを使うなら、読みやすさと正しさを別々に点検する前提で工程を組みましょう。
SEO記事の制作でAIに任せる工程と人が担う工程を分ける
では、具体的にどの工程をAIに任せればよいのか。記事制作の流れに沿って役割を並べると、次の表のとおりです。
| 工程 | AIに任せやすい作業 | 人が担う作業 |
|---|---|---|
| キーワード調査 | 関連語の洗い出し、検索意図の仮説出し | 狙う読者と優先順位の決定 |
| 構成 | 上位記事の論点の整理 | 自社が答えるべき問いの選定と、独自の論点の追加 |
| 下書き | 叩き台となる文章の作成 | 自社の言葉づかいへの書き換え |
| 一次情報 | 取材音声の文字起こしと要点整理 | 取材、事例、社内の知見の追加 |
| 事実確認 | 確認すべき箇所の洗い出し | 原典にあたっての裏取り |
| リライト | 表記の揺れや重複の点検 | 順位や読者の反応を見た改善方針の判断 |
表を見ると、AIに任せやすいのは材料をそろえる作業で、人が担うのは何を載せるかを決める作業だとわかります。下書きをAIに任せても、その前後にある設計と一次情報の追加、事実確認を人が握っていれば、上位記事の焼き直しになることは防げるはずです。
実際に進めるときは、次の順番を守ると手戻りが少なくなります。
- 読者と検索意図を人が決め、AIへの指示に書き込む
- AIに構成案と下書きを作らせる
- 取材や社内の知見から、一次情報を人が書き足す
- 数字や固有名詞、制度の記述を原典で確かめる
- 公開後の順位と読者の反応を見て、人が改善の方針を決める
ポイントは、人の作業を最初と最後だけでなく、途中の3番目にも置くことです。
AIで量産するほどAIにもGoogleにも選ばれにくくなる
AIに記事を書かせる会社が増えるほど、Webには似た記事が積み重なっていきます。生成AIは既存の情報の平均に近い文章を返すため、同じキーワードで作られた記事は、書き手が違っても論点や順番が似通ってくるのです。
ここで視点を、検索エンジンとAIの側に移しましょう。似た記事が何十本も並んでいれば、どれを上位に表示し、どれを回答に引用するかを決める手がかりとして最も効くのは、ほかの記事にない情報だと考えられます。
ここが本記事のいちばんの要点です。
AIで量産した記事が増えるほど、AIでは書けない情報の価値が上がるのです。Googleも公式ガイドで、既存の情報や生成AIで簡単に作れる内容の再利用を避けるよう求めています。それでも、AI記事のメリットとデメリットを並べる解説の多くは、この点を制作工程の話まで落とし込んでいません。AIの役割を記事の速さだけに見出すと、速く作った記事ほど埋もれるという逆説を見落としやすいでしょう。
では、AIでは書けない情報とは何か。具体的には、次のようなものが挙げられます。
- 経営者や担当者への取材で聞き出した、判断の理由
- 自社で実際に起きた失敗と、そのあとに変えたやり方
- 顧客から繰り返し寄せられる質問と、現場での答え方
- 現場で使っている基準や目安
どれも、Web上を探しても見つからず、社内の人に聞かなければ出てこない情報です。取材をもとに記事を作ってきた立場から本音を言えば、SEOで差がつくのは文章の上手さより、聞き出す工程を持っているかどうかだと感じています。AIで下書きの時間が浮いたなら、その時間を担当者への聞き取りに回しましょう。聞き取りの時間を作らないまま本数だけを増やす運用は、効果が出ない状態をかえって深めることになりかねません。
AIに頼るとSEOの効果が出にくいテーマもある
同じようにAIを使っても、テーマによって効果の出方は違います。とくに次のテーマでは、AIの下書きに頼る割合を下げるべきだと見ています。
- 医療や健康、お金、法律など、誤りが読者の生活に直接響くテーマ
- 制度改正や料金改定など、情報が短い周期で変わるテーマ
- 施工の手順や接客の勘どころなど、現場の経験がないと書けないテーマ
1つ目のテーマは、Googleがとりわけ正確さと信頼性を重く見る領域です。専門家の監修や書き手の経歴の明示まで含めて体制を組まなければ、AIの下書きを整えただけで上位を狙うのは難しいでしょう。2つ目と3つ目は、AIが学習した時点の情報や一般論に引きずられやすいため、人が最新の状況と現場の実感で書き換える前提で使いましょう。
SEOとAIの関係でよく寄せられる質問に答える
AIで書いた記事はGoogleからペナルティを受けますか
受けません。Googleは、AIを使ったかどうかではなく中身の質で記事を評価しています。ただし、読者への付加価値がないページを大量に公開すると、スパムと判断されるおそれがあるため注意が必要です。
AI検索への対策とSEOは別々に取り組むべきですか
別々に考える必要はありません。2つの対策で求められる中身は、多くの部分で共通しています。共通する取り組みの例は次のとおりです。
- 読者が答えを見つけやすいよう、結論を先に書く
- 自社にしかない一次情報を載せる
- 書き手や運営会社の情報を明らかにする
そのうえで、AIの回答に自社名が出ているかを定期的に確かめると、手を入れる優先順位が見えてきます。
AIで作った記事の効果が出るまでどれくらいかかりますか
数か月単位で見るのが現実的です。実務では、公開から順位が落ち着くまでに3か月から半年ほどかかることが多いと感じています。サイトの運営歴や競合の強さ、キーワードの難しさによって、期間には大きな幅が出るのです。AIで制作を速めても、評価が固まるまでの期間は縮まらない点を踏まえて計画を立てましょう。
まとめ|AIで効率化するほど人にしか書けない情報が効いてくる
AIを使ったSEOで効果が出ないとき、原因はAIそのものより、工程の分け方にあります。本記事の要点を振り返ると、次の3つです。
- 効果が出ない原因は、設計・中身・検証のどの層で崩れているかで切り分ける
- AI検索の時代も、評価される中身はSEOと大きく変わらない
- AIで浮いた時間は、一次情報を集める工程に回す
字遊堂はこれまで、多くの企業のSEO記事や取材記事を、担当者への聞き取りから制作してきました。その経験から言えるのは、AIで効率化するほど、人にしか書けない情報が記事の評価を左右するようになるということです。
自社のAI記事が伸びない原因がどの層にあるのか見極められない、あるいは社内で聞き取りの時間を確保できないという場合は、字遊堂にご相談ください。担当者への取材で現場の知見を引き出し、AIでは書けない一次情報を記事の中心に据えるところから、一緒に組み立て直します。

