公開日 2026年09月23日
「AIが答えてくれるなら、SEOはもう意味がないのでは」。検索結果の最上部にAIの要約が表示されるようになり、自社サイトへのアクセスが目に見えて減ったことで、そう考え始めた担当者の方も多いはずです。
しかし、企業のSEO記事や取材記事を数多く手がけてきた字遊堂の立場から言えるのは、意味を失ったのはSEOそのものではなく、AIでも書ける記事だということです。一般論をまとめただけの記事は、AIの要約に置き換えられていくでしょう。一方で、現場の経験や判断基準を語る記事は、AIが回答を組み立てる際の情報源として参照される側に回ります。
本記事では、SEOが意味ないと言われる背景から、成果の出ない対策の見分け方、今やるべき具体策、SEOを続けるかどうかの判断基準まで、記事制作の現場の視点で順を追ってお伝えします。
SEOがAIで意味ないと言われる背景には3つの変化がある
SEOが意味ないという声は、ある日突然出てきたわけではありません。検索の仕組み、調べ方、記事の作られ方という3つの変化がほぼ同時に起き、それぞれが「検索からの流入は先細りする」という印象を強めてきました。
検索結果の上でAIが答えを示すようになった
Googleは2024年8月、検索結果の上部にAIの要約を表示する「AIによる概要」の日本での提供を始めました。「〜とは」「〜のやり方」のように答えが短く定まる検索では、読者は要約を読んだ時点で疑問が解け、サイトを訪れる理由がなくなります。
定義や手順を解説する記事で集客してきたサイトほど、流入の減少を強く感じているはずです。
ChatGPTなどの生成AIで調べる人が増えた
調べものの入口は、検索窓だけではなくなりました。ChatGPTやGeminiのような対話型のAIに質問し、比較や要約まで済ませる人が増えています。
候補の絞り込みまでAIとの対話で終わると、検索結果の一覧を眺めてサイトを選ぶ段階が丸ごと省かれるのです。この段階の省略が、SEOの出番が減ったという実感につながっていると見ています。
AIで作られた似た記事が大量に出回るようになった
3つ目の変化は、記事を作る側で起きています。生成AIを使えば、上位記事と同じ見出しで数千字の記事を短時間で用意できるようになりました。その結果、どのサイトを開いても似た説明が並ぶ検索結果が増え、「記事を書いても埋もれるだけ」という徒労感が広がっています。
| 変化 | 起きていること | 担当者が感じる影響 |
|---|---|---|
| 検索結果の変化 | AIによる概要が答えを先に示す | 定義や手順の記事でクリックが減る |
| 調べ方の変化 | 対話型のAIで比較まで済ませる | 検索結果から選ばれる機会が減る |
| 記事の作られ方の変化 | AIで似た記事が量産される | 書いても差がつかず埋もれる |
3つの変化を並べると、SEOが意味ないという声の正体は、これまでのやり方では成果が出にくくなったという実感だとわかります。
SEOは終わったのではなく評価される記事の条件が変わった
結論から言えば、SEOは終わっていません。変わったのは、検索で評価され、読まれ、成果につながる記事の条件です。
AIの回答も検索で評価されたページを土台にしている
AIによる概要は、Web上のページを参照して回答を組み立て、根拠となるページへのリンクを添えて表示されます。Google検索セントラルのAI機能に関する公式ドキュメントにも、AIによる概要に表示されるための追加の要件や特別な最適化は必要なく、これまでのSEOの基本がそのまま有効だと明記されています。
つまり、AIに引用されるための対策と、検索で評価されるための対策は、別々に存在するわけではありません。検索エンジンに正しく読み取られ、読者の疑問に的確に答えているページが、AIの回答でも参照されやすくなると考えられます。
減ったのは答えだけを求める読者のクリックである
AIによる概要の登場で減ったクリックの多くは、「用語の意味だけ知りたい」「手順だけ確認したい」という読者のものだと見ています。こうした読者は、もともと記事を読んでも問い合わせや購入にはつながりにくい層でした。
反対に、依頼先を比べたい、自社の状況に当てはめて判断したいという読者は、AIの要約だけでは決めきれません。要約で全体像をつかんだうえで、根拠や事例を確かめるためにサイトを訪れます。
アクセス数が減っても、成果につながる読者まで消えたとは限らないのです。
意味を失ったのはAIでも書ける記事だ
ここが本記事でいちばん伝えたい要点です。
AIでも書ける記事とは、Web上にすでにある情報を集めて並べ直した記事を指します。AIによる概要も同じ材料から回答を作るため、並べ直しただけの記事は、要約の中に吸収されてしまうでしょう。
意味を失ったのはSEOではなく、誰が書いても同じになる記事です。 裏を返せば、自社の現場でしか得られない経験や判断基準、顧客とのやり取りから生まれた知見を載せた記事は、AIが代わりに書けません。AIの回答が参照する情報源として、むしろ価値が上がっていると感じています。
| 観点 | AIの要約に置き換わる記事 | AIの回答に参照される記事 |
|---|---|---|
| 情報の出どころ | 上位記事やWeb上の一般論 | 自社の実務や取材で得た経験 |
| 読後に残るもの | 用語の意味や手順の概要 | 判断の基準や失敗を避ける勘所 |
| 書き手の顔 | 誰が書いたかわからない | 経験者や専門家が明示されている |
AI時代のSEOでやるべきことは、自社の記事を表の右側へ寄せていく作業だと言えます。
意味がないSEO対策には4つの共通点がある
SEOそのものが終わっていなくても、成果につながらない対策は存在します。とりわけ見落とされがちなのが、手間をかけているのに成果が出ない対策ほど、似た作り方をしているという点です。
上位記事の見出しを並べ替えて書いている
上位記事の見出しを集め、順番を入れ替えて1本にまとめる作り方は、検索意図を外さない点では合理的です。ただ、材料が上位記事と同じである以上、情報の中身も同じになります。上位記事に対して何を足したのかを説明できない記事は、検索エンジンにもAIにも選ぶ理由を与えません。
AIの出力を確かめずにそのまま公開している
生成AIを記事制作に使うこと自体は問題ありません。Googleの生成AIの利用に関するガイダンスでも、調査や構成づくりに生成AIが役立つとしたうえで、読者への付加価値がないページを大量に作ることはスパムに関するポリシーに違反しうると示されています。
問題になるのは、事実の誤りや古い情報、どの記事にも書いてある一般論が、確認されないまま公開されることです。
キーワードを入れることが目的になっている
見出しや本文にキーワードを何度も入れても、読みにくくなるだけで評価は上がりません。キーワードは、読者の疑問に答えた結果として自然に文中へ入るものです。
アクセス数だけを成果として見ている
アクセス数だけを追うと、答えだけを求める読者向けの記事ばかりが増えていきます。AIによる概要の影響を最も受けやすいのが、まさにその種類の記事です。問い合わせや資料請求、採用への応募など、事業の成果につながったかどうかで記事を評価し直す必要があります。
自社の記事が次に当てはまらないか、確かめてみましょう。
- 上位記事にない情報を1つも挙げられない記事がある
- AIの出力を事実確認せずに公開した記事がある
- 記事ごとの問い合わせ件数を一度も確認したことがない
1つでも当てはまるなら、SEOに意味がないのではなく、対策の向きがずれている可能性があります。
AI時代のSEOで今やるべき対策は5つある
5つの対策は、どれも特別な技術ではありません。読者の疑問に正面から答え、その答えに自社ならではの根拠を添えるための手順です。
読者が次に取る行動からキーワードを選び直す
答えが一言で済むキーワードは、AIによる概要に置き換わりやすくなります。これから記事を増やすなら、比較する、依頼先を選ぶ、自社に当てはめて判断するといった、次の行動を控えた読者が使う言葉を優先しましょう。サービスの費用や外注先の選び方を調べる検索は、その代表例です。
結論を冒頭に置き問いに答える形で書く
AIは回答を組み立てる際、問いへの答えがはっきり書かれた箇所を参照しやすいと見ています。見出しの直後に結論を一文で書き、理由や条件を後に続ける構成にすると、読者にとってもAIにとっても要点をつかみやすい記事になるはずです。読者が実際に抱く疑問に短く答える、よくある質問の欄を設けるのも有効でしょう。
自社の経験から生まれた一次情報を入れる
一次情報とは、自社の経験や事例、判断に使っている基準など、ほかのサイトから借りてきたのではない情報を指します。Googleが評価の考え方として示すE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)のうち、経験を最も直接的に示せるのが一次情報です。引き出し方は、後の章で詳しく扱います。
誰が書き誰が確認したかを明らかにする
記事の信頼性は、内容だけでなく書き手によっても判断されます。執筆者や監修者の名前と経歴、運営する会社の情報を記事内に明記しましょう。医療や法律、お金に関わるテーマでは、専門家の確認を経ていることが読者の安心材料になります。
AIには下調べと点検を任せ仕上げは人が担う
AIを使うなと言いたいわけではありません。工程ごとに、AIが速く正確にこなせる作業と、人にしかできない作業を分けて考えるのが現実的です。
| 工程 | AIに任せられる作業 | 人が担う作業 |
|---|---|---|
| 下調べ | 競合記事の論点の整理 | 自社の経験から書ける論点の選定 |
| 構成 | 見出し案のたたき台 | 読者の疑問の順番への並べ替え |
| 執筆 | 定型的な説明文の下書き | 経験や事例の書き込み |
| 仕上げ | 誤字や表記ゆれの点検 | 事実確認と言葉選び |
表の右側の作業を省くと、記事はAIでも書ける状態に戻ってしまいます。
AIに書けない一次情報は社内の会話に埋もれている
一次情報が大切だと言われても、「うちには独自のデータも調査結果もない」と感じる担当者は多いでしょう。ここで視点を反転させましょう。一次情報は、調査やアンケートの結果だけを指すものではありません。
記事制作で取材を重ねてきた立場から本音を言えば、一次情報の大半は、社員が日々の業務で当たり前に口にしている言葉の中にあります。顧客からよく受ける質問、提案のときに必ず確認すること、過去の失敗をきっかけに変えた手順などが、その例です。本人にとっては当たり前すぎて、記事の材料だと気づいていないだけなのです。
社内の知見を引き出すには、次のような質問が役に立ちます。
| 社員への質問 | 引き出せる一次情報 |
|---|---|
| お客様から最もよく聞かれる質問は何か | 読者が本当に抱いている疑問 |
| 依頼を受けたとき最初に確認することは何か | プロの判断の順序と基準 |
| うまくいかなかった案件の後で何を変えたか | 失敗を避けるための具体的な勘所 |
| 他社と比べられたとき何を説明しているか | 自社ならではの強みの根拠 |
こうした話は、アンケート用紙を配っても出てきません。聞き手が具体的な場面を尋ね、答えを掘り下げることで、初めて言葉になります。AIに置き換わらない記事の材料は、取材という人の手の工程からしか生まれません。
AI時代のSEOは流入数ではなく問い合わせで測る
効果の測り方も変える必要があります。AIによる概要の影響でクリックが減るのは、多くのサイトで避けにくい変化です。流入数だけを見ていると、成果が出ているのに失敗と判断しかねません。
- 記事を経由した問い合わせや資料請求が何件あったか
- 社名やサービス名で検索される回数が増えているか
- 狙ったキーワードで検索結果に表示され続けているか
なお、AIによる概要に表示された分の数値も、Search ConsoleのWeb検索の実績に含まれます。記事単位で問い合わせまでの流れを追えるよう、計測の設定を見直しておきましょう。
SEOを続けるべきかは3つの条件で判断できる
正直に言えば、すべての事業でSEOが最優先とは限りません。次の3つの条件に当てはまるほど、SEOに投資を続ける意味は大きくなります。
- 顧客が購入や依頼の前に比較検討する商材である
- 顧客が抱く疑問に、自社の経験から具体的に答えられる
- 月に数本でも記事を作り続けられる体制がある
反対に、その場で購入が決まり比較されにくい商材や、記事を作り続ける人手を確保できない場合は、広告やSNS、地図検索への登録を先に固めるという順序もあります。SEOは、記事を公開してから評価が安定するまでに数か月単位の時間を見込むのが一般的です。ただし期間はテーマの競合状況やサイトの運営歴によって大きく変わるため、始めるなら続けられる形で計画しておくことが前提になります。
LLMOやGEOはSEOと切り離して始めなくてよい
AI時代の対策として、LLMOやGEOという言葉を目にする機会が増えました。どちらも、ChatGPTやAIによる概要などの生成AIの回答に、自社の情報が引用されるよう最適化する考え方を指します。
新しい専門の対策が必要に見えますが、中身の多くはSEOと重なるのです。先に触れたGoogleの公式ドキュメントでも、AIによる概要のために専用のファイルや特別な構造化データを用意する必要はないと説明されています。
| 項目 | SEO | LLMO・GEO |
|---|---|---|
| 目指すこと | 検索結果で上位に表示される | AIの回答で引用や言及をされる |
| 評価される場所 | Googleなどの検索結果 | AIによる概要や対話型のAI |
| 共通して効く施策 | 一次情報、結論を先に書く構成、書き手の明示 | 左と同じ |
LLMOとして独自に意識したいのは、業界メディアへの寄稿や取材記事など、自社サイトの外で社名が語られる機会を増やすことです。とはいえ、外部で名前が挙がる取り組みはSEOの信頼性を高める施策とも重なります。まずSEOの土台を整え、そのうえで外部での露出を広げる順序で十分だと考えています。
SEOとAIについてよくある質問に答える
SEOとAIの関係について、記事制作の相談で実際に尋ねられることの多い質問をまとめました。
AIで書いた記事はGoogleからペナルティを受けますか
AIを使っただけでは受けません。Googleは作り方ではなく、読者の役に立つ内容かどうかで記事を評価しています。ただし、確認をしないまま付加価値のない記事を大量に公開すると、スパムと判断される可能性があります。
AIによる概要に自社の記事を表示させる方法はありますか
確実に表示させる方法はありません。Googleは特別な対策は不要だとしており、検索で評価される記事を作ることが近道になります。問いへの答えを冒頭に置き、一次情報を盛り込む書き方を積み重ねましょう。
今からSEOを始めても遅くないですか
遅くありません。AIの回答が参照するのは検索で評価されたページであり、これから一次情報のある記事を積み上げる会社にも、参照される機会は十分にあります。一般論の記事だけで上位を占めてきたサイトとの差は、むしろ縮めやすくなっていると見ています。
SEO記事の制作をすべてAIに任せられますか
すべてを任せるのはおすすめしません。下調べや構成の点検はAIで効率化できますが、事実の確認と自社の経験を書き込む工程は、人にしか担えないからです。
まとめ|SEOではなくAIでも書ける記事が意味を失った
SEOが意味ないと言われる背景には、AIによる概要の登場、生成AIでの調べもの、AIによる記事の量産という3つの変化があります。ただ、AIの回答も検索で評価されたページを土台にしており、SEOの基本はAI時代にもそのまま通用するのです。
意味を失ったのは、Web上の情報を並べ直しただけの記事です。 自社の経験や判断基準を載せた記事は、検索でもAIの回答でも参照される情報源になっていきます。まずは次の3点から、自社の記事を見直してみましょう。
- 検討段階の読者が使う言葉でキーワードを選んでいるか
- 各記事に自社の経験から書いた一次情報が入っているか
- 記事の成果を問い合わせの件数で確かめているか
字遊堂はこれまで、多くの企業の取材記事やSEO記事を制作してきました。その経験から言えるのは、一次情報を載せたいのに手が付かない会社の多くが、材料の不足ではなく、社内の誰に何を聞けばよいかで止まっているということです。社員への取材の設計から、聞き取った知見をAIに置き換わらない記事へ仕上げるところまで、字遊堂にご相談ください。

