公開日 2026年09月09日
「上位10記事の見出しをスプレッドシートに全部並べたのに、どれを残せばいいのかが決まらない」。構成づくりの解説では競合調査の手順が最初に来るため、情報を集めきれば構成は自然に決まるものだと考えている方が多いはずです。
しかし、クライアントのオウンドメディア向けにSEO記事を作り続けてきた字遊堂の立場から言えるのは、構成づくりの山場は集めたあとの並べ替えと切り捨てにある、ということです。読者の疑問の順番を先に決めてから情報を集めにいく進め方もあり、そちらのほうが手が早く動く人もいます。
本記事では、記事構成が担う役割から作り方の7ステップ、そして出来上がった構成案が使えるかどうかの判定基準まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
記事構成とは書き出す前に見出しと各章の結論まで決めておく設計図を指す
記事構成とは、執筆に入る前に、扱うテーマと想定読者、見出しの並び、そして各見出しで言い切る結論までを決めておく設計図です。目次づくりと同じものとして受け取られやすいのですが、見出しの文言だけが並んだ状態では、担当するライターによって中身が大きく変わってしまいます。
構成案の段階で決めるものと、執筆に入ってから決めるものを分けて考えてみましょう。
| 構成案で決めること | 執筆で決めること |
|---|---|
| 誰に向けて書くか、読み終えたあとにどうなってほしいか | 具体例の選び方や言い回し |
| H2とH3の並び順と階層 | 段落の分け方と文章のリズム |
| 各見出しで言い切る結論の一文 | 結論を支える説明の厚み |
この線引きができていれば、執筆はすでに決まった結論を説明で補強する作業に変わります。反対に、結論の決まっていない構成案を渡された書き手は、まず何を言うべきかを探すところから始めることになるでしょう。時間がかかるうえ、記事ごとの品質も揃わなくなります。
SEOで記事構成が成果を左右する理由は3つある
検索順位は文章のうまさだけで決まるものではありません。読者の疑問にどこまで答えているか、その答えが探しやすい順番で並んでいるかが評価に関わります。構成は、その両方を書き出す前に決めてしまう工程だと言えます。
検索意図とのずれを書き上げる前に見つけられる
検索意図を取り違えたまま最後まで書き切ってしまうと、修正は部分的な手直しでは済みません。見出しの並びだけを先に用意しておけば、方向がずれていることを1時間で見抜けます。構成の段階で潰せるずれを、執筆の努力で取り返すことはできません。
読者が離脱しない順番で情報を並べられる
読者は記事を上から順に読み、疑問が解けないと感じた時点で離脱します。定義を知りたい人に手順から見せる、手順を探している人に背景の解説を長く読ませる、といった順番の食い違いは、内容の正しさとは別のところで読者を逃がしてしまうのです。
書き手が変わっても品質のばらつきを抑えられる
複数のライターに発注する体制では、構成案が品質の共通言語になります。見出しと結論まで決まった構成案を渡した場合と、キーワードだけを伝えた場合とでは、上がってくる原稿の差はかなり大きくなると見ています。編集側の修正工数も、前者のほうが目に見えて軽くなるはずです。
SEOに強い記事構成に必要な要素は5つに絞り込める
構成案のテンプレートは会社ごとに違いますが、そこに入っている項目を突き詰めると、次の5つに集約されます。この5つが埋まっていない構成案は、渡された側が判断に迷うはずです。
対策キーワードは主軸と関連を分けて決める
記事の柱にする対策キーワードを1つ決め、その周りに関連キーワードを配置します。関連キーワードは見出しに割り当てる候補であり、すべてを詰め込むためのリストではありません。検索ボリュームの小さな語まで拾い切ろうとすると、記事のテーマが散ります。
想定読者はどこでつまずいているかまで具体化する
年齢や役職だけの読者像では、書く内容が変わりません。「構成づくりを社内で内製し始めたばかりで、上位記事の見出しを写すところで止まっている担当者」というように、つまずいている場所まで書いてください。ここが具体的になるほど、拾うべき論点が自然に決まります。
検索意図は上位ページの共通点から読み取る
上位ページが共通して扱っているトピックは、検索エンジンが読者の期待に合っていると判断した内容です。逆に、1本だけが扱っているトピックは、その媒体の独自路線である可能性があります。共通項を土台にし、独自項目は自社の強みと重なるものだけを選ぶ、という取捨選択が現実的でしょう。
記事のゴールは読者の行動で書く
「理解してもらう」ではゴールになりません。読み終えた読者が構成案を自分で1本作れる状態になる、資料をダウンロードする、問い合わせフォームを開く。行動で書くと、記事の後半に何を置くべきかが自動的に決まります。
見出し構成は結論とセットで組み立てる
H2とH3の並びを決めたら、それぞれの見出しで最終的に言い切る結論を一文で添えてください。この一文があるかどうかで、構成案の使い勝手は大きく変わるのです。詳しくは後半の判定基準で取り上げます。
SEOに強い記事構成は7つのステップで作る
ここからは実際の手順に落とし込みます。全体の流れは次のとおりです。
- 記事の目的と読後のゴールを決める
- 対策キーワードと関連キーワードを洗い出す
- 上位ページを読み込んで検索意図をつかむ
- 読者の疑問を出し切って並べ替える
- H2とH3の階層に落とし込む
- 各見出しの結論を一文で書き切る
- タイトルとリード文の方向を決める
作業時間の目安は1本あたり2〜3時間ほどですが、扱うテーマへの習熟度や、上位ページの本数によって上下します。初めて扱う業界であれば、読み込みだけで半日かかることもあるでしょう。
記事の目的と読後のゴールを決める
最初に決めるのは、記事の目的です。指名検索を増やしたいのか、資料請求につなげたいのか、既存顧客の疑問を減らしたいのかによって、同じキーワードでも構成は変わります。目的が決まってから、読者側のゴールを行動の形で書き添えてください。
対策キーワードと関連キーワードを洗い出す
キーワードツールで関連語を抽出し、検索ボリュームと合わせて一覧にします。ここでは選別せず、まず並べるところまでで止めてかまいません。選別は検索意図をつかんだあとのほうが精度が上がります。
上位ページを読み込んで検索意図をつかむ
上位5〜10本を実際に開き、見出し構成を書き出します。タイトルとメタディスクリプションだけを眺めても、読者が何につまずいているかは見えてきません。読み込むときは、共通して扱われているトピック、扱いの厚いトピック、どこにも書かれていないトピックの3つに印を付けていくと、あとの作業が速くなります。
読者の疑問を出し切って並べ替える
ここが構成づくりの中心です。上位ページから拾った論点と、自分たちの実務知から出てくる論点を、順番を気にせずすべて書き出します。そのうえで、読者が最初に知りたいこと、それを知ったあとに次に聞きたくなることの順に並べ替えます。
書き手が言いたい順ではなく、読者が聞きたくなる順に並べる。この一手間だけで、記事の読み終わり率は変わってくるはずです。並べ替えの途中で、重複している論点や、この記事では答えなくてよい論点が浮き上がってきます。それらはためらわずに落としてください。
H2とH3の階層に落とし込む
並べ替えた論点をH2に割り当て、そのH2を支える細目をH3にします。1つのH2で伝えることは1つに絞ってください。H4まで必要になった場合は、たいてい論点が詰め込みすぎているサインなので、H2を分けたほうが読みやすくなるでしょう。
見出しの文言は、体言止めではなく結論を含む文にすると、目次を眺めただけで記事の主張が伝わります。「記事構成の重要性」より「記事構成が成果を左右する理由は3つある」のほうが、読者は先を読む判断がしやすいでしょう。
各見出しの結論を一文で書き切る
見出しの下に、その章で最終的に言い切る内容を一文で書きます。「構成の段階で潰せるずれは、執筆では取り返せない」といった具合です。この一文が書けない見出しは、まだ論点が定まっていません。
タイトルとリード文の方向を決める
構成が固まってから、タイトルを作ります。対策キーワードを前半に置き、後半には記事が実際に扱う実利のあるトピックを入れてください。本文にない内容をタイトルで約束すると、読者は冒頭で離脱します。リード文は、読者が抱えている思い込みを提示し、それを覆す形で記事の核を先出しする流れが扱いやすいでしょう。
記事のタイプによって構成の型は使い分ける
同じ7ステップで作っても、キーワードの性質によって出来上がる型は変わります。検索意図が「知りたい」なのか「やり方を探している」なのか「選びたい」なのかで、読者が最初に求める情報が違うためです。
| 記事のタイプ | 代表的なキーワード | 構成の骨格 |
|---|---|---|
| 解説型 | 〇〇とは、〇〇の意味 | 定義から入り、種類や要素に分解し、メリットと注意点、活用場面へ広げる |
| ノウハウ型 | 〇〇のやり方、〇〇の作り方 | 前提の共有を短く済ませ、手順を主役に置き、つまずきやすい点を後半で補う |
| 比較検討型 | 〇〇 おすすめ、〇〇 比較 | 選び方の基準を先に示し、そのうえで個別の紹介に入り、最後に判断の指針で締める |
判断に迷ったら、上位ページの見出しがどの型に寄っているかを見てください。上位が手順を中心に並んでいるのに定義から長く書き始めると、読者の期待とずれます。型を選んでから細部を詰めると、章立ての迷いはかなり減るはずです。
構成案の完成度は各見出しを箇条書きで埋められるかで確かめる
構成案ができたあと、そのまま執筆に渡す前に必ず通したい工程があります。各H2とH3の下に、書く予定の要点を2〜3行の箇条書きで埋めてみる、という作業です。構成づくりの解説記事ではほとんど語られない部分ですが、実務ではここが最後の関門になります。
やってみると、すらすら埋まる見出しと、手が止まる見出しにはっきり分かれるはずです。埋まらない見出しには、次の3つのどれかが起きています。
- 書くべき情報が手元にない(取材や調査が不足している)
- 1つの見出しに2つのゴールが入っている(分けるか、片方を落とす)
- 前の章とほぼ同じことを言おうとしている(統合するか、削る)
手が止まる見出しは、執筆の段階でも同じ場所で止まります。 構成案の見た目が整っていても、この工程を飛ばすと、書き始めてから章を組み替えることになり、結果として時間を余計に使ってしまうのです。
とりわけ効くのが、この箇条書きをそのまま執筆者への申し送りとして使う運用です。見出しだけの構成案は解釈の幅が広く、書き手が良かれと思って足した内容が、編集段階で丸ごと削られることも起きます。要点まで添えてあれば、書き手は表現と具体例に集中でき、戻しの回数が減るのです。
外注しているメディアであれば、この箇条書きが発注書そのものになるでしょう。構成案を渡すときに「各章で何を言い切るか」まで合意しておくと、初稿の完成度が一段上がると感じています。
記事構成でつまずく原因は見出しの並べ替えでは直らない
構成案がうまく機能しないとき、多くの人は見出しの順番を入れ替えて対処しようとします。しかし原因は順番ではなく、見出しの切り方や作業の進め方にあることがほとんどです。
1つの見出しに2つのゴールを持たせている
「記事構成の作り方と注意点」のように、性質の違う内容を1つの見出しに詰め込むと、本文が途中で話題を変えることになります。読者はどちらの話を読んでいるのか分からなくなり、章の結論も曖昧になります。見出しは1つにつき1つのゴールで切ってください。
上位ページの見出しを寄せ集めただけで終わっている
上位ページの見出しを並べ替えて作った構成案は、検索意図こそ外しませんが、その記事を選ぶ理由が読者にありません。共通項でカバーするのは読者の期待範囲までとし、そのうえで自分たちにしか書けない論点を独立した章として1つ立てる。この一章が、順位が競り合ったときの差になります。
キーワードを見出しに詰め込みすぎている
関連キーワードを漏れなく見出しに入れようとすると、日本語として不自然な見出しが並びます。読みにくさは離脱につながり、順位にとっても得になりません。キーワードは主要な見出しに自然な形で入れば十分です。
情報を集め終えてから並べようとしている
冒頭で触れた行き詰まりの多くは、この進め方が原因です。集めた情報がすべて重要に見えてしまい、捨てる基準が持てなくなります。読者のゴールを先に決めておけば、そのゴールに近づかない情報は落とす、という判断ができるようになるはずです。
AI検索が広がっても記事構成の作り方は大きく変わらない
AI Overviewをはじめとする生成AIによる検索結果が広がり、構成の作り方を根本から変えるべきだという声もあります。ただ、実際に変える必要があるのは一部にとどまると見ています。
| 変えたほうがよいところ | 変えなくてよいところ |
|---|---|
| 各章の冒頭で結論を先に示す | 読者の疑問の順に見出しを並べる |
| 一問一答で答えられる粒度に見出しを切る | 1つの見出しに1つのゴールを置く |
| 自社の経験や独自の情報を独立した章にする | 記事のゴールを行動で決める |
引用されやすい記事の条件は、結局のところ、人が読んで分かりやすい記事の条件と重なるのです。構成の原則を捨てて新しい手法に乗り換えるのではなく、これまでの原則に結論の位置と粒度の調整を足す。その程度の理解で十分でしょう。
記事構成についてよくある質問
記事構成の作成にはどれくらい時間をかけるとよいですか?
1本あたり2〜3時間が目安になります。ただし、扱う業界への習熟度、上位ページの本数、社内で取材が必要かどうかで幅が出ます。初めて扱うテーマなら、上位ページの読み込みだけで数時間かかることもあるでしょう。
記事構成はAIに作らせてもよいですか?
使えます。関連キーワードの整理や、論点の洗い出しのように、量をこなす工程とは相性がよいでしょう。一方で、どの論点を落とすかの判断と、自社にしか書けない章を立てる工程は人が担ってください。AIが出す構成案は上位ページの平均に寄るため、そのまま使うと差別化の要素が消えます。
記事の文字数は構成の段階で決めるべきですか?
おおよその目安は決めておきます。上位ページの文字数を測り、その平均を基準にしたうえで、読者の疑問が尽きる量に調整するのが実務的です。目安を先に持っておくと、章ごとの厚みの配分がしやすくなります。文字数を満たすために章を足すのは本末転倒になるので、避けてください。
構成案のテンプレートはどんな形式が使いやすいですか?
スプレッドシートが扱いやすいです。見出しの階層、各章の要点、参考にしたページのURL、対策キーワードを列で持たせておくと、執筆者と編集者が同じ画面で作業できます。凝った書式にする必要はなく、更新しやすさを優先してください。
見出しにキーワードは必ず入れる必要がありますか?
すべての見出しに入れる必要はありません。主要なH2に自然な形で入っていれば十分です。無理に入れて文意が崩れるくらいなら、読者が理解しやすい表現を選んだほうが結果につながると考えています。
まとめ|記事構成は集めた情報より並べる順番で決まる
記事構成づくりでつまずく場面の多くは、情報が足りないからではなく、集めた情報を捨てる基準が決まっていないところで起きます。読者のゴールを先に決め、疑問の順に並べ替え、各見出しの結論を一文で書き切る。この3つが揃った構成案は、書き手が誰であっても同じ方向に走れます。
本記事の要点を振り返りましょう。
- 構成案では、想定読者、見出しの並び、各章の結論までを決める
- 作り方は7ステップで進め、山場は論点の並べ替えと切り捨てにある
- 完成した構成案は、各見出しを2〜3行の箇条書きで埋められるかで判定する
字遊堂は、キーワード設計から構成案の作成、執筆、公開後のリライトまでを一続きで手がけている記事制作会社です。構成案は社内で作れているものの、判定基準のところで毎回迷うといった状態であれば、構成案の点検だけを外部の目に通す形でもお引き受けしています。すでに公開済みの記事について、構成の切り分けから見直したい場合もご相談ください。

