公開日 2025年11月12日
クリエイターにとって、作品は最大の名刺だと思いがちです。
「ポートフォリオさえ見せれば実力が伝わる」と考える方もいます。
しかし、初対面の商談で、いきなり作品をじっくり見てもらえるとは限りません。
多くの発注者は、最初に「どんな価値観を持った人なのか」「安心して任せられるのか」を判断しています。
この“最初の数十秒”で信頼をつかむのに役立つのが、サイモン・シネック氏が提唱した「ゴールデンサークル理論」です。
WHY(なぜ)、HOW(どのように)、WHAT(何を)という3段階で自己紹介を組み立てるだけで、印象が大きく変わります。
多くのクリエイターはWHATから話してしまう
多くの自己紹介は、次のような「WHAT=できること」から始まります。
- Webデザインができます
- ライティングをしています
- 動画を制作します
これらは正しい情報ですが、相手の記憶には残りにくいものです。
同じスキルを持つ人が世の中に無数にいるため、差別化が難しいからです。
最初に伝えるべきは“WHY”
自己紹介の順番を入れ替えるだけで、印象が大きく変わります。
最初に伝えるべきなのは「WHY=なぜその仕事をしているのか」です。
- なぜ書くのか
- なぜデザインするのか
- なぜ映像で表現するのか
ここに込めた思いや価値観は、唯一無二の個性になります。
たとえば、以下のような言葉は相手の心に届きやすいです。
- 企業やサービスの魅力を正しく伝え、良い取り組みが埋もれないようにしたい
- 小さな会社でも、伝え方次第でファンを増やせると知ってほしい
- 想いやストーリーを形にして、人の行動を変えるきっかけを作りたい
WHYは、クリエイターの「存在意義」そのものです。
次に伝えるのが“HOW”
WHYが伝わると、相手は「その想いをどう実現するのだろう?」と考えます。
そこで語るのが「HOW=どのように価値を出すか」です。
- 丁寧な取材やヒアリングを行う
- 目的から逆算した構成を作る
- 読者が行動したくなる文章を設計する
- トーンや世界観を揃えたデザインにする
HOWを語ることで、単なる“作業者”ではなく、“専門家”として見てもらえます。
最後に“WHAT”
最後に伝えるのが「WHAT=具体的な仕事内容と実績」です。
- コーポレートサイトの文章制作
- 採用サイトのストーリー設計
- 企業のインタビュー記事制作
- 年間〇本以上の動画制作
同じ実績でも、WHY→HOW→WHATの順で話すことで、「頼れるパートナー」という印象が生まれます。
1分でできる自己紹介テンプレート
【テンプレート】
- WHY:なぜこの仕事をしているのか
- HOW:どんな方法で価値を出しているか
- WHAT:具体的な業務・実績
【例文】
私は、企業やサービスの魅力を“言葉”で正しく届けるために、ライティングを行っています。
丁寧な取材と構成を重視し、読者が行動したくなる文章を作ることが得意です。
これまでに、コーポレートサイトや採用サイトの文章制作を担当してきました。
1分以内でも、この順番で話すだけで“説明”ではなく“価値提案”になります。
活用できる場所は商談だけではない
ゴールデンサークルは、自己紹介以外にも応用できます。
- SNSプロフィール
- ポートフォリオサイトの冒頭
- 名刺の裏面
- プレゼンの導入
- 営業メールの最初の一文
「何をする人か」だけでなく「なぜその仕事をしているのか」が伝わると、印象は大きく変わります。
クリエイターは営業が苦手と言われがちですが、実際は“伝え方の型”を知らないだけです。
選ばれるクリエイターは、想いを語れる
- WHATから話すと埋もれやすい
- WHYから始めると、理念や価値観が伝わる
- HOWを続けると専門性が伝わる
- WHATで実績が生きる
「何を作るか」より「なぜ作るか」。
この順番を意識するだけで、自己紹介は営業ツールになります。
作品だけに頼らず、想いを言語化できるクリエイターが、指名される時代です。

