公開日 2025年10月21日
BtoB企業の広報やオウンドメディアでよくある課題が、「何を発信すればいいのか分からない」という悩みです。
製品の性能やサービスの特徴を丁寧に紹介しても、反応が薄い。
営業担当も「内容は正しいけれど、読まれない」と感じているケースが少なくありません。
今のBtoB市場で求められているのは、スペックではなくストーリーです。
本記事では、企業が語るべき“ストーリー”の本質と、その作り方を解説します。
「良い商品」だけでは選ばれない時代
BtoBの購買プロセスは長く、複数の意思決定者が関わります。
製品の性能や価格だけで差別化することは年々難しくなっています。
だからこそ、顧客が注目するのは「どんな会社から買うか」という信頼の物語です。
たとえば、同じ機能のシステムが2社にあっても、
- 社員の顔が見える会社
- 理念が伝わる会社
- 挑戦や失敗の歴史を語る会社
のほうに人は惹かれます。
人は数字ではなく、ストーリーによって意思決定を正当化する生き物だからです。
BtoB企業が語るべき3つのストーリー
1.創業のストーリー:「なぜ、この事業を始めたのか」
創業の背景には、必ず“想い”があります。
「困っている誰かを助けたい」「業界を変えたい」「前職で感じた課題を解決したい」――
この“原点の物語”は、製品説明よりも強く心を動かします。
例:
「当時は手書きの見積書が当たり前でした。効率化のために自分たちでツールを作ったのが、今のシステムの原型です。」
こうした語りが、企業の信頼と人間味を伝えます。
2.顧客とのストーリー:「誰の、どんな課題を解決したのか」
BtoBでは「導入実績」ではなく「関係性の物語」が鍵になります。
製品の特徴よりも、「どんな顧客の悩みに、どう寄り添ったのか」を描くことで、読者は自社の課題と重ね合わせやすくなります。
Before→Afterの形式でまとめると効果的です。
Before:受発注業務に3日かかっていた
After:自動化で1日に短縮。担当者が提案業務に集中できた
データではなく体験としての成功を語ることが、BtoBの信頼を築きます。
3.未来のストーリー:「これから、何を目指しているのか」
多くのBtoB企業が忘れがちなのが、“未来”の語りです。
ビジョンを掲げることは、採用・取引・投資、すべての関係者に安心感を与えます。
例:
「AIと人が共に働く製造現場を実現し、次世代のものづくりを支えたい。」
このように「自社がどんな未来を描いているか」を発信することで、読者は企業の成長の物語に共感します。
ストーリーは「経営戦略」とつながっている
BtoB企業のストーリーテリングは、単なる広報施策ではありません。
それは、経営理念・ブランド・採用活動を一貫させる経営戦略の一部です。
たとえば、
- 「創業ストーリー」は理念浸透に
- 「顧客ストーリー」は営業支援に
- 「未来ストーリー」は採用・IRに
活用できます。
ストーリーを点ではなく線で発信することで、企業の世界観が統一され、ブランドの軸が明確になります。
「語る」ではなく「共有する」時代へ
SNSやオウンドメディアの普及によって、企業が発信する情報は“独り語り”では響かなくなりました。
これからのストーリーは、「語る」から「共有する」へ。
社員・顧客・パートナーと一緒に物語を紡ぐ姿勢が求められます。
社史、インタビュー、ドキュメンタリー動画など、社内外を巻き込むストーリー設計こそ、BtoB企業の信頼を長期的に育てる鍵です。
BtoBの競争軸は「スペック」から「ストーリー」へ
同じ機能、同じ価格、同じ提案――。
差がつかない時代に、最後に選ばれるのは「誰から買いたいか」です。
それを決めるのが、企業のストーリー。
“数字では語れない価値”をどう表現するか。
その答えが、BtoB企業の発信力を決定づけます。
あなたの会社にも、語るべき物語があります。
「事例紹介はあるのに、ストーリーになっていない」
「理念や歴史をうまく言語化できない」
そんなBtoB企業向けに、ストーリー設計と発信戦略のサポートを行っています。
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