公開日 2025年09月25日
多くの企業が毎年、中期経営計画や年度計画を策定します。
しかし、現場ではよくこんな声が聞かれます。
「計画書は作ったけど、社員は内容を知らない」
「計画はあるのに、日常業務にまったく落とし込めていない」
「作ること自体が目的化してしまい、毎年同じことの繰り返し」
このように、せっかく時間と労力をかけて作った経営計画が、
“生きた計画”として機能せず、形骸化してしまうケースは少なくありません。
では、なぜ経営計画は現場で活かされないのでしょうか。
そこには、経営者や社員の「計画への共感不足」という大きな問題があります。
なぜ計画は現場で機能しないのか
計画が形骸化する最大の理由は、社員が計画の背景や意義を理解していないことです。
数字やスローガンだけを伝えても、社員の心は動きません。
例えば、「来期の売上目標10%アップ」という計画が掲げられても、
それがなぜ必要なのか、どこへ向かうための目標なのかが共有されていなければ、現場では「ただのノルマ」として受け止められてしまいます。
経営計画を“生きた計画”にするためには、社員一人ひとりが自分ごととして共感できるストーリーが不可欠なのです。
社史が持つ「ストーリー化」の力
ここで大きな役割を果たすのが社史です。
社史は単に過去を記録するものではなく、会社の歴史と理念を整理し、未来への道筋を示すツールでもあります。
会社の成長には必ず「物語」があります。
創業者が苦境を乗り越えた経験、新事業を立ち上げた挑戦、顧客との絆――。
こうしたエピソードを社史として可視化することで、経営計画に背景と意味づけが生まれます。
例:
「私たちは創業時、地域のお客様に支えられて成長した。その恩返しとして、次の3年間は地域貢献型の新事業に挑戦する。」
「過去の危機を乗り越えたように、今回も全員で挑戦しよう。」
このように、歴史を軸に語ることで、計画は数字の羅列から“ストーリー”へと変わり、社員が腹落ちしやすくなります。
社史が経営計画に与える3つの効果
社史は、次の3つの点から経営計画に大きな影響を与えます。
- 理念を再確認し、計画に一貫性を持たせられる
- 社員の共感とエンゲージメントを高められる
- 計画実行のPDCAを加速させられる
それぞれ詳しく見てみましょう。
1. 理念を再確認し、計画に一貫性を持たせられる
計画策定時に社史を振り返ることで、創業理念や会社の使命を再確認できます。
理念とズレた計画は、いずれ現場で形骸化してしまいます。
社史を土台にすることで、計画に一貫性が生まれ、全社員が同じ方向を向きやすくなります。
2. 社員の共感とエンゲージメントを高められる
社史には、会社の苦労や成功の物語が詰まっています。
社員がそれを知ることで、自分の仕事が歴史の延長線上にあることを実感できるようになるでしょう。
これはモチベーションの源泉となり、計画への主体的な参加意識を生み出します。
JTBコミュニケーションデザインの調査によると、周年事業で解決したい課題として最も多く挙げられたのは「社員エンゲージメントの向上(76.9%)」でした。
これは、歴史や理念が社員の心を動かす強力な要素であることを示しています。
3. 計画実行のPDCAを加速させられる
社史には過去の成功事例や失敗事例が集約されています。
これを「会社の知恵」として計画策定に活かすことで、同じ失敗を繰り返さず、実行の精度を高められます。
まさに、社史は過去から未来へのデータベースとして機能するのです。
社史×経営計画の作り方
経営計画を組み合わせた社史の作成は、以下の流れで行います。
-
過去の棚卸しをする
社員インタビューや資料整理を通じて、創業から現在までの歩みを体系化。 -
理念とストーリーを明文化する
創業者の想いや転機となった出来事を整理し、会社の“物語”を言語化。 -
計画とストーリーを結びつける
中期計画や年度計画を、この物語の延長線上に位置づけて発表。 -
社内外で共有する
社内説明会や採用パンフレットなどで共有し、理念浸透とブランディングを同時に実現。
弊社が提供する1年社史では、これらをプロのライターが行います。
社内リソースを圧迫せず外部に制作を委託できるため、社内でプロジェクトチームを結成する必要もありません。
ご興味がある方は、お気軽にご相談ください。
計画を「語り継がれるもの」に
経営計画は、ただ数字を並べるだけでは機能しません。
社員が自ら「やりたい」と思える背景や物語があって初めて、計画は現場で生きた形になります。
社史はその物語を形にし、未来への道しるべとなる存在です。
経営者にとって、社史を活かした経営計画づくりは、
単なる管理ツールではなく、会社の文化と未来を紡ぐ経営戦略そのものなのです。
「計画が社員に響かない」と悩む経営者こそ、まず自社の歴史を振り返り、
物語を経営計画に組み込む一歩を踏み出してみてください。
その計画は、数字を超えた"生きた計画”へと進化するはずです。

